群青色の季節に
この詩集の主題詩です。
ステージを降りた道化師の淋しい肩に
かけてやる言葉をおれは知らない
つきはなされた北風に おぼえたてのブルーズを
ころがして 悲報をまつのさ
駆け抜けて過ぎた時代を偲んでうたう
おまえはこのさきに何を見るのだろう
つきつけられた三行半 忘れかけのフレーズを
かみつぶして 家路につくのさ
古傷には 砂をかけて
忠告には 悪態をついて
さよならには 花束を贈るよ
自分の選んだ生き様に心が折れないよう
群青色の季節に
やがて散る運命と呪うけど
白く褪せた姿は晒せない
あざやかだった頃が離れないから
群青色の季節は
夏のおわりに 秋のうつろいに
このまま 深くした憂鬱に揺られ……
コテージを灯すランタンに群がる蝶を
遠くからみつめる視線を知らない
かきけされてく北風に おぼえたてのブルーズは
ころがって 悲報になるのさ
かさぶたには やすりかけて
慰めには 憐みを汲んで
おやすみには くちづけで送るよ
自分の選んだ去り際に心が揺れないよう
群青色の季節に
いずれ来る結末を悟るけど
黒く翳る姿は見ないでね
あざやかだった頃を忘れないから
群青色の季節は
冬のさなかに 春の訪れに
このまま 深くした憂鬱に揺られ……
廻る時計の針を銀の杭でうちつけて
めぐる季節に瞼を瞑るだなんておれにはできないよ
群青色の季節を
越えてまた明日を迎えよう
モノクロの景色には埋もれない
あざやかだった頃は消せやしないさ
群青色の季節は
夏のおわりに 秋のうつろいに
冬のさなかに 春の訪れに
このまま 深くした憂鬱に揺られ……
もともとは「群青色」じゃなくて「藍色」でした。
紫が強くなったぶん、深い色になったかな。