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北欧美少女のクラスメイトが、婚約者になったらデレデレの甘々になってしまった件について【3巻が6/25発売!】  作者: 軽井広@北欧美少女2&キミの理想のメイドになる!
第五章 新たな挑戦者

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74話 母娘丼

 夫婦、という予想外の言葉を聞いて、透は動揺した。

 ただ、大人になっても愛乃と一緒にいるというのはそういうことだ。婚約者なのだから。


 というより、味噌煮込みうどんの店は若い男女が彼氏彼女として来るような店ではない気がしてきた。


 愛乃の希望とはいえ、ちょっと場違いで夫婦感が出てしまっているような気もする。

 やがて親子入り味噌煮込みうどんが運ばれてくる。運んできたのはさっきの女子高生店員だ。


「わあっ、美味しそう……!」


 味噌の良い香りがその場を圧倒する。ぐつぐつと煮立った鍋はいかにも食欲をそそるようだ。

 透も愛乃も待ちきれなくなってくる。


 目の前に置かれると、すぐに透も愛乃も箸を手に取った。


「ね、透くん。この卵ってどうすればいいの?」


 うどんの中央に生卵が載っている。黄身がとても美味しそうに存在感を主張しているけれど、どう扱うかは悩みどころだ。


「いろんな食べ方があるよ。鍋のそこに沈めて固まるのを待ったりとかもできるんだって」


「へえ。透くんのオススメは?」


「俺は……」


 透は鍋の蓋に卵を入れて、それに麺をつけてみせる。


「こうやってすき焼き風にするのがオススメかな。かき混ぜちゃうと卵が入っているかわからなくなるけど、こうやって食べれば卵がちゃんと美味しく食べられるし」


「じゃあ、わたしもそうしよっと」


 愛乃も透の真似をして、蓋に卵を入れる。そして、それに麺をつけて食べた。


「うん。美味しいっ! すごく濃厚な味だね……」


 愛乃はぱっと顔を輝かせる。味噌煮込みうどんを赤い唇に運ぶ姿すら、愛乃は色気がある。

 一瞬みとれてから、透は慌ててごまかす。


「み、味噌は強烈なインパクトがあるよね」


「そういえば、親子入りってどういう意味?」


 知らずに注文したのか、と思って透がちょっと驚くと、愛乃は「だって透くんと同じものを頼みたかったんだもん」とくすっと笑って言う。

 そんないじらしいことを言う愛乃も可愛いなあ、と思う。


 それに、透も説明が不足していた。


「親子丼の親子と同じだよ。かしわ、つまり鶏肉と卵が入っているから親子入りってこと」


「あっ、そっか。鶏の親と子供両方を食べるものね。あと、親子丼ってえっちな言葉でも使うよね」


「なんでそんなこと知っているの!?」


 その場合、親子丼ではなく、母娘丼と書くと思うが。

 愛乃はちょっと顔を赤くして、ふうふう味噌煮込みうどんを冷ましながら言う。


「女の子もえっちなことに興味があるんだよ?」


「まあ、愛乃さんを見ていればわかるけど……」


 これは失言だった。愛乃がぷくっと頬を膨らませる。


「それってどういう意味? わたしが痴女って言いたいの?」


 痴女というと聞こえが悪いけど、部分的にはそうかもしれない。

 けっこう愛乃は大胆だ。引っ込み思案な性格なのに、懐いた相手にはどんな愛情表現も惜しまない。


「痴女だなんて思わないけど、可愛いなあとは思うよ」


 そう言うと、愛乃がちょっと照れたような表情を浮かべる。


「そ、そんなことでごまかされないんだから。可愛いって言ってくれるのは嬉しいけど」


 愛乃がはふはふと味噌煮込みうどんを食べながら言う。


(うん、やっぱり可愛い……)


 愛乃が箸を止めて、透を上目遣いに見る。


「わかってる? わたしがえっちなことをしてあげるのは、透くんだけなんだからね?」 

「もちろん、わかっているよ。婚約者だから」


「うん。婚約者だものね」


 愛乃はふふっと笑った。

 透はかしわを箸で取って放り込む。いい感じにジューシーで柔らかい。


 親子入りの「親」だ。

 そういえば、愛乃の母のことを透は何も知らない。


 そもそも愛乃と透の婚約のきっかけを作ったのは彼女だ。愛乃を近衛家に身売りさせて、会社を立て直そうとした。


「そういえば、愛乃さんのお母さんってどんな人?」


 愛乃がちょっとびっくりしたような顔をする。


「ま、まさか、透くん。本当に母娘丼を……?」


「しないから!」


 透は食い気味に言う。

 愛乃がくすくすっと笑った。


「わたしのお母さん、若くて美人だよ。わたしと同じ金髪碧眼。並んでいると姉妹みたいって言われるの」


「へえ……それはすごいね」


「だから、透くんがしたいなら母娘丼も――」


「しないよ!」


 透の突っ込みに愛乃は面白そうな表情を浮かべる。


「冗談だよ。でも、透くんがしたいなら考えてあげてもいいけど」


 愛乃はそう言いながら、卵に麺をつけて美味しそうにすすった。




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