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味噌煮込みうどん!

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 愛乃と二人きりで外食。

 そういえば、学食で二人でご飯を食べたことはあっても、普通の外食は初めてだ。


 といっても、お昼に高校生同士で食べるものだから、レストランでディナーのような改まったものではないけれど。


 透がそう言うと、愛乃は微笑む。


「透くんと一緒なら、どこで食べてもごちそうだよ? でも、いつかは透くんと二人でフレンチとかにも行ってみたいかも」


「そうだね。雰囲気のあるところでクリスマスにディナーとか、恋人同士ならするだろうし」


「あっ、恋人同士になるって思ってくれているんだ?」


「そ、それは、えっと……そうだね。このままだったら、きっとそうなると思う。でも――」


 婚約者である愛乃を恋人にするということは、そのまま結婚につながるということで。

 透にはまだ、そこまでの覚悟はなかった。つまり、愛乃を守り切る自信がないのだ。


 愛乃は顔を赤くして、嬉しそうに笑う。


「大丈夫。その言葉だけでとても嬉しいから。今はデーティング期間中なわけだし、わたしたちは良いお友達、なんだよね」


「そう。一番大切な友達だよ」


 たとえ愛乃が彼女でないとしても、今の透にとって愛乃はもっとも身近な存在だった。


「でも、透くんには幼馴染の知香さんや、家族みたいな時枝さんもいるものね」


 それはそのとおりで、愛乃は透と過ごした時間が二人よりはずっと短い。

 それでも、透は愛乃のことが大事だった。愛乃が自分を必要としてくれたから。

 

 愛乃もそのことをわかっているのか、うなずく。


「わたしは知香さんたち全員に勝つつもりだから。覚悟しておいてね?」


「それは……楽しい覚悟になりそうだね」


「ふふっ。わたしが透くんを陥落させてあげる」


 愛乃が妖艶な表情を浮かべたので、どきりとする。

 本当に愛乃に陥落させられてしまいそうだ。

 

 けれど、愛乃はすぐに子供っぽい表情に変わる。

 

「ね? それで何を食べよっか?」


「ああ、そういえば……知香はあんかけスパの美味しい店があるって言ってたけど、どこの店か知らないし」


「それはまた今度、知香さんもいるときが良さそうだよね。透くんのオススメがあったら、そこに行きたいな」


 愛乃がきらきらとした青い目で透を見つめる。

 そう言われるとハードルが上がるけれど、愛乃が透のオススメの店に行きたいと言ってくれるのは少し嬉しい。


「愛乃さんはどんなものが食べたい?」


「そばとかうどんとか」


 見かけによらず、日本的な料理を上げるなあ、と思う。

 そこで透はひらめいた。


「じゃあ、味噌煮込みうどんとかどう?」


「あっ、一度わたしも食べてみたかったの」


「食べたことないの?」


「名古屋めしって、名古屋に住んでいると食べることってあまりない気がしない?」


 たしかに名古屋めしの大半は観光客はよく食べても、名古屋人が食べるかといえば微妙なところはある。


 喫茶店のモーニングや味噌カツは根付いているけど、きしめんは透も数えるほどしか食べたことがない。

 とはいえ、味噌煮込みうどんは普通に食べる人が多いと思うけれど。


 愛乃は照れたような笑みを浮かべる。


「うちはお母さんが偏食で、あまり日本食は食べれなかったし」


「なるほどね」


 愛乃もフィンランド人といっても、日本での生活がほとんどのはずだ。ただ、愛乃の母はそうではないのだろう。


 味噌煮込みうどんを食べようと言う発想は出てこないのも理解できる。


「だからね、楽しみなの! テレビでよくグツグツと美味しそうな鍋を見たことがあるから」


「まさにそういう感じの味噌煮込みうどんで、近くに良い店があるんだよ」


 透はそのまま栄の街中を歩き、通りの中から一件の店を選んだ。

 繁華街のなかでは少し古びた見た目だけれど、風格があって渋いとも言える。


「いらっしゃいませー!」

 

 ソプラノのきれいな声が響く。


 店の雰囲気に似合わず、店員は若い女性……というより少女だった。透たちと同い年ぐらいだろうか。

 高校生のアルバイトか、家の手伝いなのかもしれない。


 彼女は一瞬固まり、それから透たちを案内した。


(今の間は何だったんだろう……?)


 愛乃の容姿が珍しかっただけだろうか。それとも、どこかで会ったことがあるのか……。

 気になったけれど、それより愛乃とのお昼ごはんの方が大事なので忘れることにした。


 座敷席に案内され、透も愛乃も座布団の上に正座で座る。座るとき、愛乃のパンツがちらりと見えそうになって、透は慌てて目をそらす。

 それでも、白いほっそりとした太ももが目に焼き付いている。


 幸い、愛乃はそれに気づいていないようだった。


「なんにしようかなっと。透くんは決めた?」


「俺は親子味噌煮込みうどんで。たまごがあったほうが美味しいから」


「じゃあ、わたしも透くんと同じのにしよっと」


 愛乃は鼻歌でも歌いそうな上機嫌な様子で言う。

 周りを見ると、家族連れだらけだ。


 愛乃はふふっと笑う。


「わたしたちも家族に見えるかな?」


「もう少し大人になったら、見えるかもね」


「つまり、夫婦ってことだよね」


 愛乃はくすくすっと笑っていた。




<あとがき>


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