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56話 知香の婚約

「透くん……おっぱい触って……」


 愛乃がとんでもないことを言ったので、透はびくっと震えた。

 ただ、愛乃の目は閉じられていて、すやすやと寝息を立てている。


 寝言みたいだった。

 透はほっとするけれど、愛乃の腕は背中から透の腰に回されていて、ぎゅっと抱きしめている。

 

 今、透は家のベッドの上で、愛乃と知香の二人と一緒に寝ていた。婚約者と元婚約者の二人の美少女は、透を挟むように左右に並んで寝ている。


 ネグリジェ姿の愛乃は薄着だし、その胸が透に押し当てられている。振り返れば、きっと胸の谷間もばっちり見える。


(ね、眠れない……)


 透が悶々としていると、目の前の知香が透をジト目でにらみつける。


「デレデレしちゃって、透ってばカッコ悪い……」


「で、デレデレなんてしてないよ」


「嘘つき。リュティさんのおっぱい大きいなあとか思ってたくせに」


 透が口ごもると、知香は不機嫌そうに「図星なんだ……」と言う。


「私相手にはそんな態度、見せなかったくせに……」


「え、えっと……もしかして……


「や、ヤキモチなんて焼いてないから!」


 実際には嫉妬していたのだと思う。

 透は知香の手をぎゅっと握ってみた。

 

 知香は急に顔を赤くして、どぎまぎした様子で透を見つめる。


「と、透……?」


「ごめん。嫌だったらやめるけど……」


「い、嫌じゃない。でも、こんなこと、女の子なら誰にでも気軽にするわけ?」


「いや、近衛さんだからだよ」


 透は深く考えずにそう言ったけど、知香はぱっと顔を明るくした。


「ふうん。私、だから、ね」

 

 嬉しそうな知香は、くすっと笑う。


(やっぱり……知香は、今でも俺のことが好きなんだ……)


 そのことを改めて意識させられる。では、透はどうすればよいのか。


 もちろん、今の透の婚約者は愛乃だ。愛乃の力になると、透は約束した。

 同時に知香は元婚約者で、幼馴染で従妹でもある。透にとって守るべき存在だったのに、守ることができなかった子だ。

 

 その知香が透のことをまだ好きだと言っている。


 ただ、愛乃の婚約者でいながら、知香の気持ちに応えることはできない。つまり、透はどちらかを選ばないといけない。


「ねえ、透。わたしが他の誰かと結婚するって聞いても、少しも残念には思わない?」


「それは……」


 知香の問に透は口ごもってしまう。知香は微笑んだ。


「少しは残念だって思ってくれているんだ?」


「そうかもしれない。身勝手だとは思うけど……」


「ううん。嬉しい。あのね、私、実は新しい婚約の話があるの」

 

 知香は目を伏せて、小声で言う。

 透は驚いたけれど、知香も16歳になるし、近衛家なら新しい婚約者を用意して当然だ。


「もし婚約したら、こうやって透の家に来ることもできないから。せっかく透と昔みたいに……」


 幼馴染らしい関係に戻れたのに。知香はそう言いたいのだと思う。


「あのね。もし透が反対なら……私は婚約を断ろうかなって思うの。透はどう思う?」


 知香は黒い目で透を見つめ、そう問いかけた。



昨日の更新でもお知らせしましたが……書籍化します! 愛乃が可愛い!、続きが気になる、書籍化も楽しみ!と思っていただけましたら


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書籍版2巻・2024年8月26日発売 /></body></html>
2巻 2024/8/26発売『北欧美少女のクラスメイトが、婚約者になったらデレデレの甘々になってしまった件について』。限定特典もあり!
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