55話 愛乃にはお仕置き? 知香にはご褒美?
愛乃に挑発されて、知香はうろたえた様子だった。「ちょっとぐらいならエッチなことをされてもいい」と知香が言ったことを逆手にとって、愛乃は「どんなエッチなことでもされていい」と反撃したのだ。
透ははらはらした。これから寝るはずなのに、とても眠れるような雰囲気ではない。
知香は愛乃をきつく睨む。
「私はあなたと透がエッチなことをするのを止めに来ているんだもの。リュティさんが勝手にエッチなことをされたいって言っても、私が止める」
「ふうん。本当に?」
「あ、当たり前じゃない! 透とあなたが……こ、子供ができるようなことをさせるわけにはいかないんだから!」
「あ、近衛さん、今、エッチなことを想像したでしょ?」
「あなたがそういう話をさせているんでしょう!? ともかく、私が透とリュティさんのあいだで寝て、あなたたちがエッチなことをするのを止めるんだから!」
「そのためなら、『ちょっとぐらいなら』透くんにエッチなことをされてもいいんだよね?」
「そ、そうよ! 悪い?」
愛乃はふふっと笑った。いたずらっぽく愛乃が瞳をキラリと輝かせ、知香に一歩近寄った。
そして、その背後に回り込む。知香ははっとした表情をしたが、遅かった。
「な、なにするのっ!? ひゃうっ」
愛乃は知香に後ろから抱きつき、ぺたぺたとその身体を触っていた。
くすぐったそうに、知香が身をよじる。
「近衛さんの身体って、とっても柔らかい……」
「な、なに言って……」
「それに肌も綺麗だし……透くんもいたずらしたいたくなっちゃうよね?」
愛乃にセクハラされて、知香は混乱したように顔を赤くしていた。でも、全力で抵抗するわけでもなく、なんとなく受け入れてしまっている。
愛乃と揉み合ううちに、着衣が乱れて、知香の胸元がはだけ、その胸の谷間がちらりと見えてえしまう。
透は動揺し、それから慌てて愛乃を止めた。
「あ、愛乃さん……やり過ぎだよ」
「あっ、ごめんなさい」
愛乃はすぐに透の言うことを聞いて、知香から手を放した。透の言うことなら、愛乃は素直に聞いてくれる。
それが透には、ちょっと嬉しかった。
愛乃がちらっと上目遣いに透を見る。
「ね、透くん。近衛さんをいじめた悪い子のわたしに、お仕置きをしてくれない?」
「お、お仕置きって?」
「エッチなお仕置きとか」
愛乃がそう言うと、知香は憤然とした表情になった。
「それはご褒美でしょ!」
透と愛乃は顔を見合わせた。
そして、愛乃はにやにやとした笑みを知香に向ける。
「透くんにエッチなことをされるのは、近衛さんにとってご褒美なんだ?」
「そ、そういうわけじゃなくて……」
「胸元もはだけているし、透くんを誘惑してるんだ?」
愛乃が知香をからかうと、知香は顔を真赤にして、そして胸元を隠した。気がついていなかったらしい。
「と、透……! 私の胸……」
「ええと、見てないよ?」
「嘘つき!」
知香に枕を投げつけられるけれど、透はそれを難なくキャッチしてしまった。
そのことで知香はますます頬を膨らませてしまう。
「と、ともかく、今日はもう寝るんだから!」
「それで寝る位置はどうするの?」
愛乃の疑問に、しばらく場は沈黙に包まれた。
それから、結局、透が真ん中で、愛乃と知香に挟まれる形で寝ることになった。
(これじゃ眠れないな……)
二人の女の子と同じベッドで挟まれて寝るなんて、人生初めてだ。
けれど、もう一つ、眠れなくなる理由が、知香の口から発せられるとは、このときは思ってもいなかった。
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