48話 男の子だものね
透は愛乃のバスタオルを静かに下に引っ張った。すると、愛乃の大きな胸がこぼれるようにあらわになる。
そのままバスタオルを剥ぎ取ってしまう。
鏡には、裸の愛乃が写っているわけだけれど、透は思わず目をそらしてしまった。
一方の愛乃は頬を真っ赤にして、両手で胸と下腹部を隠した。
「は、恥ずかしい……」
「えっと、今からでもやめようか?」
「ううん。大丈夫。恥ずかしいけど、嬉しいもの。わたしの体……これから、透くんに滅茶苦茶にされちゃうんだね?」
「か、体を洗うだけだよ……」
「じゃあ、おっぱいも触られちゃうんだ?」
「ま、前は洗わないから。背中だけ……」
「本当に?」
愛乃がくすっと笑う。
何もするつもりはないけれど、たしかに理性が維持できるかは心配なところだ。
透が答えられないでいると、妙な空気になる。
「わ、わたし、もしかして透くんに襲われちゃう?」
愛乃があたふたした様子で言うので、透はぶんぶんと首を横に振った。
「そんなことしないよ」
話題を変えないといけない。透は慌ててボディソープを手にとって、そして、愛乃の背中を素手で洗い始めた。
愛乃がびっくりした様子で、「ひゃうっ」と悲鳴をあげる。
「へ、変な声出さないでよ」
「だ、だって、透くんの手が冷たいんだもの」
「ごめん」
「ううん。でも、透くん、大胆だね……」
考えてみると、愛乃の肌に直に触れてしまっている。
でも、今更やめるわけにもいかなかった。、
愛乃の背中はとても小さかった。小柄な少女なのだから、当然だけれど。
改めてじっくり見ると、愛乃の肌はきめ細やかで、真っ白な雪のようだった。
北欧系という愛乃の血筋を改めて思い出す。
愛乃がつぶやく。
「透くんの手、やっぱり大きいね」
「そうかな」
「そうだよ。……男の子だものね」
愛乃は幸せそうに、つぶやいた。
そんなふうに、愛乃は素直に透との触れ合いを喜んでいるのに、透は邪な思いを抱かずにはいられない。
鏡に写る愛乃の胸元に目が行ってしまう。透はそんな考えを振り払おうとした。
とりあえず、透は愛乃の背中をシャワーで流すことにする。
ところが、温水にしていたはずのシャワーの水が冷たくなっていた。
跳ねるシャワーの水しぶきの冷たさに透は驚いたけど、直接背中に浴びせられた愛乃はもっとびっくりしていた。
「つ、冷たいっ!」
愛乃は悲鳴を上げ、体を跳ねさせる。
慌てて透はシャワー止めて、温度を調整した。
「ごめん。愛乃さん、大丈夫……?」
見ると、愛乃はこくこくとうなずいていたが、驚いた拍子に胸と下腹部を隠していた手を放してしまったらしい。
鏡に一糸まとわぬ愛乃の体が写っている。
小柄だけど、胸が大きくて、すらりとした肢体に透はどきりとする。
愛乃は、うろたえた様子で、慌ててふたたび両手で隠そうとするが、透がその手を止めてしまう。自分でも何をしているかわからなかった。
「と、透くん……? どうしたの?」
「愛乃さん……」
「か、顔、怖いよ? もしかして、わたし、本当に襲われちゃう?」
「そんなことはしないよ。しないけど……」
「それなら、わたしの胸も洗ってみる?」
愛乃は目を伏せて、ささやくようにそう言った。