47話 体を洗ってくれるの?
キスしてもいい、妊娠したっていい、なんて愛乃は言うけれど、そんなわけにはいかない。
愛乃はドキドキした様子で、透を上目遣いに見つめる。。
「キスだけじゃなくて、胸やお尻を触ってくれてもいいんだよ?」
「そ、そんなことできないよ」
うろたえる透に、愛乃がくすっと笑う。
「真っ赤になっちゃって、透くん、可愛い!」
「からかわないでよ……」
「わたしは本気。キスだけじゃなくて、胸でもどこでも触ってもいいし、何をしてもいいの。わたしを……透くんのものにしてほしいな」
その愛乃のささやきは妖艶で、ぞくりとするほど心地よく響いた。
透はそっと愛乃から離れる。
愛乃と密着して、抱きしめていたから、胸とか体に触れるためには一度離れないといけない。
(い、いや、何もするつもりはないんだけれど……)
バスタオル姿の愛乃は、肌をほんのりと赤く染めて、透を待ちわびるような、期待するような表情を浮かべていた。
透は愛乃の胸にそっと手を伸ばしかけ、けれど、その手を止めた。
愛乃は、攻められるのに弱い、というのは今日の発見だった。
予想外のアプローチを取られると、愛乃はうろたえてしまう。そういうところも可愛いな、と透は思う。それに、愛乃の言う通りにするわけにもいかない
「愛乃さん……じゃあ、体を洗ってあげよっか」
「えっ」
透の提案に、愛乃はびっくりした様子だった。
そして、もじもじとする。
「と、透くんがわたしの体を洗ってくれるの?」
「そうそう」
「い、いやらしいことをするつもりなんだ……」
「そんなことしないよ」
透は言ってみたものの、自分でもまるで説得力がないと思う。
「ダメかな?」
「キスの方がいいけど……それも悪くないかも。そんなこと近衛さんにはしないよね?」
「まあね」
透がそう言うと、愛乃は満足そうな笑みを浮かべた。
透は愛乃の腕を軽くつかむ。愛乃はびくっと震えるが、まんざらでもなさそうだった。
透は愛乃の手を取ったまま、二人で風呂から上がると、歩いてシャワーの前に来た。
そして、透は椅子を指し示す。
「ここに座って」
「う、うん……」
愛乃は緊張した様子で腰掛けた。そして、透はその背後に立つ形になる。
正面には鏡があって、バスタオル姿の愛乃を写している。
バスタオルの上から、愛乃のなだらかでしなやかな体のラインがはっきりと見て取れる。
愛乃がむうっと頬を膨らませた。
「透くんの目つきがどんどんエッチになっている気がする……」
「そういうふうに愛乃さんがさせたんだよ」
「わたしがエッチな悪い子みたいな言い方だね?」
「実際、そうだと思うけど」
透が笑ってそう言うと、愛乃はわざとらしくツンとした表情を作った。
「透くんがエッチなのがいけないんだよ」
「まあ、そうかもね。でも、愛乃さんが可愛いのが悪いんだよ」
透がささやくと、愛乃はあたふたとした様子になる。「可愛い」と直球で言われて照れているんだと思う。やっぱり、攻められると弱いのか。
そして、愛乃はふと気がついたように言う。
「ねえ、体を洗うときって、バスタオル、どうしよう……」
「ええと……」
たしかにバスタオルをつけたままでは、当然、体を洗えない。
透は覚悟を決めた。
「バスタオル、脱がしていい?」
「そ、それは……」
「何をしてもいいって言ったよね?」
「透くんの意地悪……。でも、いいよ。透くんがどうしてもわたしの裸を見たいって言うなら……許してあげる」
愛乃はいたずらっぽく青いサファイアのような瞳を輝かせた。
愛乃は、怯えた様子も一切なく、ただ透を信頼しきって、むしろ期待するように透を見つめていた。
そして、透はそっと愛乃の背中のバスタオルに手をかけた。
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