29話 押し倒される北欧美少女
ベッドの上の透の隣に、薄手のネグリジェ姿の愛乃が座っている。互いの手も恋人繋ぎのように絡めていた。
そして、愛乃は透に恋人のようにしなだれかかり、青い瞳で透を上目遣いに見つめていた。
愛乃は、襲ってもいいと言ったが、そんなわけにもいかない。
透がそう言うと、愛乃は微笑んだ。
「連城くんは真面目だよね」
「そういうリュティさんは積極的だね……」
「そうかな。あのね、わたし、連城くん以外にはこんなことさせていいと思ったことなんてないよ? 男の人は苦手だし……」
「俺も男なんだけど……」
まるで男扱いされていないようで、透にはちょっとショックだった。
愛乃はくすっと笑う。
「連城くんが男の子なのは知っているよ。わたしのこと、何度もエッチな目で見ていたもの」
「それは……うん、ごめん」
愛乃が胸を押し当てたり、裸同然の姿で一緒の風呂に入ったりしたせいとはいえ、事実だった。
愛乃は優しい笑みを浮かべる。
「謝る必要なんて、全然ないよ。だって、連城くんは例外で……わたしにとっては特別だもの。だから、キスをするのも、え、エッチなことをするのも……初めては連城くんがいいなって」
そう言って、愛乃は透に甘えるようにささやいた。
特別な存在と言われて、透は思わずくらりとするほど、嬉しくなった。
両親は離婚して透に何の関心も持たなくなっていたし、かつて透に期待していた近衛家も知香も、透をいらない存在として切り捨てた。
学校でも透は自分の居場所を見つけられないままだった。
そんな透のことを、金髪碧眼の美しく優しい少女が必要としてくれている。
透はそっと愛乃の肩に手をかけた。愛乃がびくっと震え、「連城くん……」ときれいな声で透の名前を呼んだ。
そのまま、透は手に力を入れて、優しく愛乃の肩を押す。
「あっ……」
愛乃が小さな吐息をもらす。
愛乃は仰向けに倒れ、その弾みに大きな胸が揺れた。ネグリジェが乱れ、胸元も際どい感じになっているし、裾がめくれ、白い脚も露わになっている。
そして、透は深呼吸して、愛乃の華奢な体の上に覆いかぶさる。
愛乃は顔を真赤にして、恥ずかしそうに両手で胸を隠している。
そして、愛乃はぎゅっと目を閉じて、ささやく。
「わたしのこと……連城くんの好きなようにしていいよ?」
押し倒された愛乃の体は、透に支配されることを待ち望んでいるかのようだった。