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北欧美少女のクラスメイトが、婚約者になったらデレデレの甘々になってしまった件について【3巻が6/25発売!】  作者: 軽井広@北欧美少女2&キミの理想のメイドになる!
第二章 透の婚約者になりたい少女

この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

15/92

15話 子どもを作りたいって言ったくせに!

【お知らせ】


北欧美少女vs美人の幼馴染の短編ラブコメ


『ツンデレ幼馴染に仕返しするために、金髪碧眼美少女とカップルのフリをしたら修羅場になった』


も投稿しています! さくさくっと読めるのでこちらもぜひ! ジャンル別6位!


https://ncode.syosetu.com/n5762hf/

 愛乃に婚約を迫られた翌日。


 透は、学校の図書室にいた。校舎の中でも、図書室は別館の四階と五階に位置する。


 この学校は私立で、中高合わせて2500人と生徒数も多い。だから、その図書室は2階分のフロアを占めるほど広くて、蔵書も結構な量がある。


 透のお気に入りの場所で、目的もなく時間をつぶすことも多い。

 けれど、今日は違う。目的があるのだ。


 透は閲覧席に座ると、本棚から取ってきた本を広げる。

 背表紙に『フィンランドを知るための本』と書かれた、ソフトカバーの本だ。


 どうしてそんな本を読もうと思ったかと言えば、理由は一応あった。

 愛乃が、フィンランド人だからだ。


 今日の教室でも愛乃はいつもどおり一人で過ごしていた……ことはなく。


 驚くほど積極的に、愛乃は透に迫ってきた。「連城くん、日直なんだ? 手伝う?」「ね、連城くん。お昼を一緒に食べよう?」と事あるごとに、透に話しかけてきたのだ。


 そういうとき、愛乃は嬉しそうに、上目遣いに透を見つめていた。そして、耳元で「結婚してくれる?」とささやくのだ。

 周りに聞こえないほどの小声だったとは思うけれど、バレたら大変なことになる。


 ただでさえ、クラスの男子からは嫉妬されているし、明日夏もなぜか不機嫌なのだから。


 ともあれ、透は否応無しに愛乃のことを意識させられ、逃げ回る羽目になった。


 愛乃が必死なのは、透にも理解できる。愛乃からしてみれば、透との婚約が成立しなければ、どこの誰とも知らない人間と結婚させられることになるわけだから。


 けれど、透には決断できなかった。


(形だけの婚約だとしても、俺は本当にリュティさんの力になれるんだろうか……?)


 でも、「結婚してほしいの」ときらきらした青い瞳で迫る愛乃は……透にとって、心を揺さぶられる存在だった。


 知香に、近衛本家に見捨てられて以後、透は誰かに必要とされたことなんてなかった。

 でも、今、愛乃が透を必要としている。


 フィンランドについての本を読もうとしているのも、愛乃のことを知りたいと思ったからかもしれない。

 

(いや、ちょっと気になっただけさ)


 透は、心の中で言い訳して、ページをめくった。


 フィンランドという国について、透が知っていることなんて、ほとんどない。

 ヨーロッパの北のほうにある寒い土地というぐらいの知識しかなかった。

 

 そのフィンランドについての本は、政治や経済、歴史、文化、観光といったいろんな分野ごとに分かれていて、40人もの書き手が文章を寄せていた。


 フィンランドはたった人口500万人の小さな国なのに、日本にフィンランドの専門家がたくさんいることに、透は驚いた。


 ペラペラとページをめくってみる。


 フィンランドでは、他のヨーロッパの国と比べても、金髪碧眼の人間は多いらしい。


 愛乃も、まるで絵のなかから出てきたかのような、美しいブロンドの髪とサファイアのような瞳を持っていた。


 一方で、フィンランドでは女性も身長が高くて、170cmを超える人も普通にいるらしい。


(リュティさんはかなりちっちゃかったな……)


 本屋で会った時、愛乃は踏み台の上で背伸びして、必死になって本に手を伸ばそうとしていた。

 その姿を思い浮かべ、透はくすっとする。

 

 そして、はっとする。結局、愛乃のことを考えてしまっている。


 そんなとき、本のページに影が差した。誰かが頭上から覗き込んでいる

 透は反射的に顔を上げると、そこには小柄な少女がいた。


「なに読んでいるの?」


 ちょこんと首をかしげているのは、愛乃だった。

 金色の髪がふわりと揺れ、ブレザーの制服の胸元にふわりとかかる。


 透はまじまじと愛乃を見つめた。愛乃はくすっと笑って、微笑み返す。

 そして、透は大慌てで本を隠す。


 フィンランド関係の本を読んでいると知られたら、どう思われるか? タイミングを考えれば、愛乃がフィンランド人だからだと思われるだろう。それは少し恥ずかしい。


 けれど、愛乃は透が本を隠したことが気に入らなかったらしい。

 むっとした表情で頬を膨らませる


「なんで隠すの?」


「個人のプライバシーだよ」


「エッチな本とか? 連城くんってそういうの読まないかと思っていたけど」


「エロ本じゃないよ」


「エッチな本読まないの?」


「……図書室でおおっぴらに読んだりはしないってこと」


「へえ、家では読むんだ?」


 ジト目で見られ、透は肩をすくめる。


「昨日も言ったけど、俺も馬鹿な男子の一人だからね」


 ふうん、と愛乃はつぶやいて、少し顔を赤くした。


「わたしと結婚したら、エッチな本なんて必要なくなるかも」


「え?」


 透がまじまじと愛乃を見つめると、愛乃は慌てて胸を隠すように、両腕で身体を抱く。


「そ、その変な意味で言ったんじゃなくて……」


「じゃあどういう意味?」


 透はおかしくなって、つい尋ねてしまった。

 明らかに変な意味で言ったのだと思う。しかも、愛乃が自分から勘違いして、言い出したことだ。


 愛乃は「ううっ」とつぶやくと、頬を真っ赤にした。

 そして、涙目になって透を睨む。


「き、昨日は……れ、連城くんがわたしと子どもを作りたいって言ったくせに!」


 愛乃の綺麗な声が、図書室のなかに響きわたる。

 そして、そのとんでもない発言のせいで、図書室の空気は一瞬で凍りついた。

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