狂信者と魔法実技4
今更ながら思ったのは、魔力が少なく、体術も巧く扱えないことを知っているはずの女帝陛下がなぜ、俺を皇女殿下の護衛に回すのか。
それほどまでして、皇女殿下とのコネクションを維持するための連絡係が必要だったのだろうか。
女帝陛下の心意気がますます知れなくなってしまった。
それに、下手の横好きなりに足は鍛えているので足に集中して《ブースト》でも使えば授業時間ぐらいはなんとかできるか。
若しくは、授業内容が変わっている可能性に僅かでも賭けるか。
そして、魔法実技の授業が始まる。
そんな淡い期待も破れて、トーナメント形式の実戦訓練となった。
しかも、時間を目一杯使って、クラス最弱まで決めるらしい。丁寧なこった。これで一応魔力切れの心配はなくなった。あまり飲み過ぎると中毒にかかるのだが、そこまで飲むこともない......筈だ。
臨時の救護班も闘技場でテントを張っている。曰く、マナポーションも完備しているようだ。
是非とも魔力量の多い相手と当たるのはご勘弁願いたい。
闘技場を五つに分けてその中で戦うそうだ。一応白線で引かれた枠があるがそれを越えようと別に構わないらしい。
そして、勝敗が決まるのはどちらかが降参したとき、もしくは戦闘不能と判断されたとき、だそうだ。
要は己の力で相手をねじ伏せろという事だ。
ならば簡単、一瞬で間合いに入るだけだ。




