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狂信者と朝5
ドンドンドンとドアを叩く音が聞こえる。
バルトールか。こちらを呼ぶ声も聞こえる。
「今行くから待ってくれ」といって急ぎ用意をする。
制服と鞄、そして髪の毛を少し解いて玄関を開ける。
「すまなかった」
「うーん。まただよね。別にいいけど」
明らかに不機嫌な様子が窺い知れる。
「分かった、今日の放課後は何でもするから許してくれないか?」手をこすり合わせ、頭をさげて、願うように言う。
「なんでも?」
「何でもする」
「じゃあ、決まりだ!さて、急ごう!覚悟しておいてね?」
「あ、ああ」
こんなことで機嫌がよくなるのだから安いものだ。懐が寒くなっても人と人の繋がりはそれ以上に大切だ。
それにしても、今日も寝坊しかけてしまった。




