狂信者と昼休み1
魔法第六科の教室では案の定、明確な″ライン″ができていた。
クラスは貴族派と庶民派の割合が半々に近いのか、よりピリピリな雰囲気だ。決闘の一つや二つ起きても不思議ではないが......さて、被弾しにいくか、困ったときは正面突破、それにこの事の責任が無いわけでない。
レドル嬢は同じ貴族の人達と談笑している。その中にはイリヤ嬢もいた。
「レドル様はいらっしゃいますか」
そういってクラスを見渡すように目を動かす。
「いません、今は食堂にでもいらっしゃるのではないでしょうか」
そういう女子生徒。
「ではあそこに見えるのはレドル様ではないと?単なる″庶民″の生徒だと」
言ってもいない発言のすり替え。詐欺師がよく使う手法だ。
そして今現在、庶民や貴族という身分の差を感じさせるモノには皆、敏感になっている。
「ちがっ、別にそこまでは......」
「レドル様!どうやらこの方は公爵令嬢のレドル様を只の庶民の生徒といっていますが、この方はのどような立場の方なのでしょうか!!」
女子生徒が反論する前に間髪入れずに嫌味ったらしく言う俺に苦笑するレドル嬢と、イリヤ嬢。
「アンナ通して差し上げなさい」
「しかし!」
「重要な事なの。お願い」
「......分かりました。今回だけですよ」とアンナと呼ばれた女子生徒は不満げに通せんぼをやめる。
「私聞き分けのいい子は好きよ」とレドル嬢が微笑む。
強引過ぎる方法で突破して、相手に恥をかかせてしまった。後でアンナという生徒には謝っておこう。




