狂信者と四限目1
次は歴史の授業だ。
帝国の歴史を中心に古代から現在までの大陸事情についての授業で単なる歴史的事項だけでなく、それによって引き起こされた事によってその後どうなったのか、現在までの影響、一部は戦術、戦略についても解説する。
戦術、戦略について学ぶのは卒業後、魔道師団に入る者も多いからだそうだ。教師も退役した魔道士だ。
口利きで軍に入ることもできるだろう。
初めの授業は古シルド王国の歴史についてをしている。
元々古シルド王国は現在の帝国とほぼ同じだったらしい。
ある時、奴隷に対して厳しいの法律、完全なる人権剥奪が起きた。
それを奴隷身分の多くを占めていた、ババーリアン人つまり、現クロイセン人が中心となって反旗を翻し共和国へ、国名を反乱の中心にあったババーリアン達が別大陸から来た事になぞらえて古シルド語よりクルーセン、海より来し者という言葉をもじって、クロイセンとなったらしい......いや無理があるだろう。
反乱の主がババーリアン達なら当然王国を倒して統治者になりたがった筈だ。
一応共和政クロイセンの初代執政官は共にババーリアンに親しくしていた王国の元貴族となっているが......
反乱を起こしたかったのはババーリアン達。
元貴族はそれを救う事に意味があったのか、一応国の中心に近づけるというメリットはあるが、それ以上にリスクが大きい。
ババーリアン達の勝利が確定した時の一時的な統治者としての役割を求めたのだろうか、それともババーリアン達が都合のいいように扱う体のいい人形としての元貴族を求めたのだろうか。
この時期にババーリアン達を支援して戦った貴族、王国側について戦った貴族の両方が大量に色々な罪で処刑、財産の全額没収、そして、初代執政官の妻がババーリアンであったこと、そしてその婚約が反乱の後..................そっとしておこう。
世の中にはあまり首を突っ込まない方がいいこともある。それに疑い過ぎるのもあまりよろしくない。
そして、授業が終わり、昼休みに入る。俺は真っ先にレドル嬢のいるであろう魔法第六科の教室へ向かう。




