狂信者と手入れ3
そして、小銃及びその他兵器は大隊の存在理由が無くなると共に処分が決まっている。それに関する文書も含めて。
元々この世界に無いものでまた新たな戦争や、死者が生まれてはいけない。
介入は帝国を維持するための必要最低限の行為のみ、国境線の小競合いもよほどの事がなければ避ける。
加えて言うなれば政治的準内戦状態ならその内戦の引き金に指をかける行為すら避けるべきだ。
特に今の時期、どこの派閥がどの国と共謀しているかわかったもんじゃない
下手な事をして、女帝陛下が皇帝の位から引き摺り下ろされて、新しい王朝が建てられると帝国は″また″分裂してしまう。
帝国が新王朝に引き継がれても分裂しないように今は予期せぬアクシデントは避けるべきだ。
帝国を安定させるにはもう少し時間が必要なのだ。
これはある種の贖罪だ。元来、俺達は良くない奇跡によって生み出されたシンギュラリティ。
だがしかし、それが特に世界へ及ぼす影響など精々限られたものだろうと思っていたし、この点でいえばかなり姉と論争を繰り広げた。
そしてある時、姉はこうも言った。
「今の私達が暴走しちゃえば、世界にとってどれ程の脅威になり得るのか分かってる?」
私はその問いに対して単に一時的な万能感による自己陶酔発言だと思って、相手にしなかったが、あながちにもそれは間違っておらず、目の前で見せつけられた。
そこからは方向性を180度転換し、姉の方針に従い、大体はそれに沿って規則を纏め、大隊規則として明文化した。
イレギュラーはイレギュラーらしくひっそりと表舞台から消え失せる。
それは考えを引き継いだ今も変わらない、大隊の規則の中にある。
思索しながら掃除を終えて、そのまま寝床に入る。




