狂信者と秘密1
はぁ、面倒だ、《シャフェゲル》を使って忘れさせたいがそれには気絶させることが不可欠だ。
今イリヤ嬢を気絶させると二人を引き摺って運ばないといけなくなる。
そうなればあまり評判もよろしくない。
「話しません。何かをさせた、した後の責任が怖いので。責任の取れない事はしませんよ」
「身持ちが硬いんですのね。つまらないお方」
「当たり前です。レドル様はどこまで運べばよろしいのですか」
ネルラント・フォン・カンベルとしている間はカンベル伯爵家というモノの片棒を担いでいる。
安易な考えなしの行動、言動はもってのほかだ。
「部屋までお願いします」
「女子寮は男子禁制では?」
「緊急時は除くという条項はご存じ?」
そんな条項が有ろうが無かろうが、知ったこっちゃない。
嘘で寮の中まで連れ込まれる口実になりかねない。
「寮長もしくは、メイドに手伝わせて部屋まで連れていけば良いでしょう」
「私、急に眠気が襲ってきました......」
なぜそこまで俺に拘るのか。知的好奇心からか、遊んでいるのか、情報を聞き出そうとしているのか、それとも───いやこれだけはない。一番最後はあり得ないとして、ありそうなのは─────────




