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狂信者の受験1
羽根ペンと紙の音だけが部屋中に響く。
はっきりと言えば内容はそこまで難しくないし実技も大丈夫だろうが歴史、地理に関しては全くの無知とまでは言わないが知識が偏っているのは否めない。ちなみに追試の時のみ、魔法実技が要求される。それも考えると普通であれば難易度的にはかなり厳しい。
それを平然とやってのけるのはやはり天才や人外の類いだと思える。そして貴族の子というのもやはり辛い事には変わりない。
前日には軍務卿の馬車へと乗り、ヴィタメールへと向かう。
そして当日、持ち物は筆記具のみ。実技試験用具は向こうで用意してくれるらしい貴族なら自前で持ってくるのがプライドらしいが、軍の管理下にあるものを試験で使うのも流石に憚れる。
持っているがこれは使わないというか使えない。実戦用の魔導書を演習用のそれしか″まとも″に使いこなせていない様な甘ちゃんに使うのは流石に憚られる。
これは軍人としての矜持でもある。