狂信者と入学式6
例えるなら優秀な敵指揮官より、無能な味方の方が怖い。
無能な味方は下手をすると作戦を失敗するだけではなく部隊が文字通り全滅しかねない。
それはともかく、あの性格が皇女殿下に負担を掛けないかが不安だ、言葉の通りに物事を受けとる。
つい最近に一番の不安が解消されたとはいえ、未だ皇女殿下の胸の内は安定に欠ける。上手くクラネが不満を聞いてくれる相手になってくれれば良いが。
杞憂かもしれないが、ナガサワならやりかねない。
「ただ今より、聖歴652年帝立ヴィタメール学校第127期生入学式を執り行います。学校長式辞」
そうして、出てきたのはいかにも校長であると言わんばかりの女性。髪は白髪で目は黒色。
「新入生の皆さん。厳しい試験を乗り越えてこの学校に来ましたね。ですがここがゴールではありません、新たなスタートです。よくこの学校に来たから将来は安泰だ、遊んでいても退学がないと思う生徒を見かけます。
しかし、この学校は実力主義です。この学校の実力に見合わない生徒には退学措置をとることがあります。それと、これもよく勘違いされるのですがこの学校では皇家も貴族も平民も関係ありません。皇家、貴族だからといって威張る事のないように。同じ魔を学ぶ友人として互いを尊敬し、切磋琢磨して充実した学校生活を送れることを願っています」
かなり攻めた発言だ。よりにもよって皇女殿下のいる場での言葉、これには会場がざわつく。
相変わらず、■■■■・■■■■からナガサワへのヘイトが高い。




