狂信者の皮肉
「おーい、おーいってば、起きて!」
どうやら悪夢を見ていたようだ。
「あ、ああ。おはよう」
「うなされていたよ。悪夢でも見たのかい?」
「大丈夫だ。それよりお前こそ急に倒れたが、大丈夫だったか」
「いやぁ疲れていたのかな。それと、その前の記憶が思い出せないんだ。でもあんまり気にする事もないし大丈夫だよ」
「どこまでなんだ」
「ん?」
「だから、どこまでを覚えていてどこから覚えていないんだ?」
「マリア様達と別れた後からの事を覚えていないんだ」
「そうか、でもその後特に変わったことがあった訳でもないしなぁ......まあ今日はゆっくり休んだらどうだ?」
「そうだね、そうするよ」
「じゃあ俺はそろそろ部屋に帰るわ」
「うん、運んでくれてありがとう」
「友達が困っていたら助けるのが当たり前だろう、じゃあまたな」
最高の皮肉だ、本当に。友達と言った相手を信用せずに記憶を消して、あたかも友達を助けたであるかのように立ち回る。自分でやっておきながら反吐が出る行為だと以前なら思えていたかもしれない、今は誰に言い訳するのでもないのにひたすら心の中で自己弁護をしている。
これが正しかったのだ。と
「バイバーイ」
「ああ」




