狂信者の事後処理
やはり人は信用しきれない。
殴って気絶させる。そして記憶を忘れさせ、忘れた事について認識阻害をさせる魔法をかける。
対象は今の会話とその行動について、認識阻害と忘れさせる事を同時に行う。その利便性から密偵に拷問した後に何を知られたかを忘れさせる時に使われる。軍の極秘魔法だ。それゆえに突破方法もある、忘れた事を思い出したときに──ではなかった、───ではなかったと永遠と繰り返す事でそれを推測することが出来る。
閑話休題
やはり、コイツは危険だ。だからといって出会った頃からの記憶を全て消すのは魔力量からして無理だ。だから、気絶させたバルトールをおんぶして男子寮のバルトールの部屋まで運び、ポケットに入っていた鍵を開けてベットに寝かせる。
「手紙でも書いておくか」
そうして、バルトールが急に倒れたこと、そしてこの部屋まで運んだ事を書いた。
別に嘘は書いていない、倒れた原因が外因的か内因的なものかはともかく。
明日からも平然と何事もなかったように接する。俺もクズになったとは思う。だが、人は元来クズでも聖人でもない無である。環境と人間関係によって変わる。
そういう面で見てもやはり俺は″不良品″なのだろう。
さて、色々な準備をしていたらかなりの時間が経っていた。
さて、鍵をどうしようか。俺が閉めて鍵を持って帰るというのも変な感じだし、閉めずに鍵を置いておくのも不用心だ。
結局床の上で寝ることにした。
そうして意識を落としていく。




