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狂信者と女帝陛下
「誰なのこんな夜も明けない時間に?!......貴方ね、用件は」
「これだよ」
といって手紙を渡す。
「そう、ありがとう......!?」
そして封を明けて中身を読んでいた。そして、暫くした後。
「読み終わったか」
「今返事を書くからちょっと後ろ向いて待ってて」
「了解」
暫くすると封が閉じられた手紙を渡された。
「あの子に......渡してあげて......」
「分かった、責任をもって隠密に送り届ける。良かったな嫌われてなくて」
「ええ!」
「涙拭けてないぞ、人が出入りが激しくなる前に乾かして......ま、言うまでもないか」
女帝陛下とは7年の付き合いだが、泣いていたのは始めて見た。彼女は父親を殺した時も、兄に自殺を強要した時も、戦友が死んでいても決して泣かなかった。鉄の女帝なんて言われていた。
「まだ人が来るまで時間は十分にあるわ。それぐらいわかってるわよ」
「それじゃ、人が来ない内に俺は去るぞ」
「任務絶対に完遂させなさい、失敗したら承知しないわよ」
「ああ、命に代えても任務は成功させる」
どうやら思い詰めていたのは姉の方も同じだったようだ。




