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狂信者と密会
そして二日後の夜、ハローネ公爵邸宅にて
「マリア皇女殿下に会いに来ました、ネルラント・フォン・カンベルです」
「どうぞこちらへ」
そうして皇女殿下の部屋へ通される。
「来ましたね」
「約束通り、手紙は預からせて頂きます。メイドには何と言ったのですか、お陰様であらぬ誤解が蔓延っていますが」
「すみません。こうするしか無かったんです。それにまあ、この時間帯に来るのですから″そういう事″をしたと思われている方が余計な詮索をされません。許してあげてください、メイド達は色恋沙汰に飢えているのです」
メイドというのはつくづく面倒臭い。
「適当に答えておけばいいんですね」
「そのようにしてください」
そして適当な雑談をした後、メイドにつれられて戻る。
そして夜が明ける前に宮城へと向かう。この時間にはもう女帝陛下は起きている。
貴族の服から軍服に着替えて顔を隠し、こっそりと裏口から出て宮城から逆方向へ向かう。そして秘密の出入口より宮城地下へ侵入する。
そうして衛兵に見つからないように、巡回ルートに引っ掛からないよう執務室の扉を開ける。




