狂信者と博打師の皇女殿下2
「私がいつ、兄の事を良く思っていると言いました?あの兄の根本的な所は前皇帝と変わりません、独裁政治による圧政で民衆を押さえつければ姉様の反乱は終わると思っていた位です。まったく出来の悪い兄でした。その様な私にとって急に回ってきた前皇帝派筆頭という役割はとても重く、似合わないものでした」
ハイライトが無かった、マジだ。
「つまり、現在の前皇帝派と女帝派の対立を望んでいないと」
「ええ、ですから中立派の貴方ならばと思い、話したのです」
「しかし、それは私にではなく女帝派の方へ通す話ではないのですか。私がこれを利用し内乱を起こす事も出来るのです。失礼ですがご自分が何を仰っているのか分かっているのですか」
「貴方はその様な事はしません」
「何故でしょうか」
「私の勘です」
「勘?そんなもので......出過ぎた口をきいてしまい申し訳ございません」
「いえ、構いませんよ。閑話休題もちろん前皇帝派は生き残った私を祭り上げていることはわかっています。そんな私が姉様と和解しようとすれば残った前皇帝派の不満は爆発し、すぐさま内戦へ突入してしまう可能性があるのは分かっています、分かっているのですが......」といって皇女殿下は拳をぐっと握る。
「皇女殿下少し落ち着きましょう」
「ええ、ですが冷遇されていた私を暖かく迎えてくださいました、それに比べて今の私は、姉様に楯突く言動をするばかり」
なんとも難しい問題だな。米ソ冷戦と同じだ。人間はいつどこでも対立して徒党を組む。そしてどちらかが折れると纏まりが崩れてもっと酷い事になる。




