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『アウロパ旅記』第八章─クロイセン帝国─
「我が帝国は講和条約を締結致しました。魔王国は一年前の北方戦役時に我が国が領有した、旧領の返還を条件に、賠償金帝国大白金貨150枚分を15年間に渡る分割払いに応じました。3月6日正午より戦死者追悼式を執り行います。賠償金より遺族年金を捻出しますので、3月20日より順次、戦死者遺族の方へ帝国小金貨一枚と交換できる小切手を送付します。小切手は役所にて交換可能です。尚、ブレスト地方より北は魔王国の領土となりますので、商売や旅行へ行かれる方はご注意を。そして、一部税の減税を行います。売上税、煙草税───以上となります。」
魔法《拡声》で読み上げられた文章は淡々としていた。
そこにあったのは政情不安で常にどこかで権謀術数を巡らす都ではなく、敗戦ムードこそ漂っていないが、どこか深刻で、重苦しい雰囲気を纏った、静かな街であった。
それは戦死者への追悼を表したものであったのかも知れない────ロデリゴ・バットゥータ著『アウロパ旅記』




