表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
国粋主義の狂信者  作者: AAKK
158/169

狂信者のお仕事8

 「《突撃型B6》、敵の戦力は?」

 「空はMe262(シュヴァルベ)が少なくとも十機、Ju-87(ジェリコのラッパ)が約二十機、Me323(バカガラス)が六機、陸の方はV号戦車(パンター)G型が四十台、Ⅵ号戦車(ティーガー)A型が四十台、B型が約三十台、ブレダ12.7mm機関銃装備の獣人歩兵が約1000名です......そして未確認なのですがⅧ号戦車(マウス)が存在したとの情報があります」 

 中世の戦場にトンデモない物を持ってこられた。

 これでは勝負にすらならない。

 合流地点は本来銃後の場所だったはずだが、魔王の軍がすぐそこまで迫っている、恐らく戦車部隊だろう。そして、音質の悪い魔法通信が敵の方から飛び交っている。

 先に偵察へ出た《突撃型C61》の魔力探知を共有したホログラムディスプレイからも敵味方の様相がハッキリと見える。敵を表す赤の光点は一向に減らず、分類した味方を表す緑の光点は減り続け、戦線離脱していくが敵戦車と思しき赤点は一向に減らず、航空機らしきそれが悠々と飛び回っている。

 これじゃあ、昼間戦闘じゃあ勝負にならない。

 長距離砲撃型でもティーガーの正面装甲を抜けないから出来たばかりの十糎野砲を態々持ってきたのだが。マウス相手に貫徹出来るかと言われれば怪しい。十糎野砲も面制圧ではどうにもならない強固な要塞を貫徹するために製造したが、まさか戦車を相手する事を想定しておらず。あるのはタングステンより貫徹力の低い鋼鉄や鉄と数種の金属を合わせた徹甲弾と、対人に毛が生えた程度の威力しかない榴弾。

 「やるなら夜か......」

 陣容を聞くだけでも圧倒的で、さながら第三帝国の戦車師団と航空団のようだ。

 歴史にifはないが、あの国が勝っていたのならあり得た理想の戦車師団であるかもしれない。戦争博物館のようでもある。

 だが、希望はまだある。

 幸いな事に完全な機械化部隊とはならなかったようで、兵員輸送車等は見られず、補給に関しても魔物を使った補給線で脆弱という訳ではないが、速度は人間が歩くよりも遅い。

 加えて軽戦車のように機動力の高い部隊も存在せず、肝心の重戦車にしてもそのまま使っているのであれば足回りがかなり脆弱な筈。

 魔法通信を傍受してもエニグマ暗号を改良せず使用していたので俺がここに到着する頃にはある程度解読されていた。

 よりにもよって、バルバロッサ(オペレーション)作戦(バルバロッサ)だと。皮肉にも程がある。

 奴は戦争を舐めているのか。

 しかし、ブレダ機関銃を持つ獣人歩兵部隊はかなりの脅威だ。

 夜戦ならば相手の航空支援を制限でき、尚且つこちらの損害を軽減できる。

 幸か不幸か、相手の油断している時を狙う夜襲には慣れている。しかし、相手のほとんどは獣人族で構成されている為、一度気付かれると一気に不利な状況になる。

 夜襲であるからこそ獣人族対策は必須である。

 奴らは音に敏感で、100m先の布が擦れる音ですら気づいてしまう。時間もあまりない、十糎野砲も精度を得ようとするならば複数回の弾着観測が必須。それをどうするか......静かだから気付かれる、ならば───

『二日後の夜、夜襲を決行。《補給員1-48》はそれぞれ八名体制で一番から六番砲に。《長距離砲撃型A1-32》は残りの七番から十番砲へ。魔王軍の予想される進軍地域、ブレスト地方バルバラへ転進(撤退)。敵部隊を半包囲するように、東は森へ、西は丘陵に隠して配置。《突撃型B580-920》、《中距離連射型C327-600》まで、《長距離砲撃型A33-900》まではそれぞれ歩兵部隊への対処。《突撃型C10-90》までは囮。以下、戦闘部隊を甲、囮部隊を乙、それ以外の人員で兵站部隊を編成し、これを丙とする。作戦内容は────』

 そうして淡々と作戦内容を共有する。

『何か質問は?なければ訓練と装備点検の後、休養とする』と見回すが特に挙手している者もいない。

『以上。ともかく、野砲の訓練を重点的に行え』というと各々の持ち場へ戻っていった。

 集まったのは1000人足らず。KIA(戦死)やらMIA(作戦行動中行方不明)があって所々欠番があるので仕方ない。

 とはいえデータ処理、システムの限界、つまり俺の指揮下に置けるギリギリの人数である。これ以上の人数を指揮しようとすれば、一気に凡才以下の能力が露見する。

 様々な機能をあの手この手で拡張し、何とか

 騙し騙し使っているのだ。

 だから、そんなこんなで本来は大隊指揮官クラスなので妥当とはいえ、全ての人員を指揮できないというのはかなりのウィークポイントである。

 もう少しスペックの上の指揮型が残れば良かったのだが仕方ない、()()()()で殆どは戦死してしまったのだから。

『《副隊長》より《大隊長》西方にて軍事演習アリ、いつ侵攻されてもおかしくありません』

『《大隊長》より《副隊長》了解。作戦終了後、残存部隊を向かわせる』

『《副隊長》より《大隊長》了解。警戒体制を継続する』

『《大隊長》より《連絡士官》大隊規則より輸送龍隊に作戦協力を求む』

『《連絡士官》より《大隊長》輸送龍隊の竜の内、十匹が作戦投入可能。作戦詳細送れ』

『《大隊長》より《連絡士官》了解。作戦開始日時───』

『《連絡士官》より《大隊長》了解。以降は作戦開始時まで一切の連絡を受け付けない』


評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ