狂信者のお仕事5
「今、相手にしたのは只のいたいけな少女やない。反乱分子に加担して、こちらに危害を加えてきた兵士や。お前はそんな相手にも気ぃ使えゆうんか。ええ?!」
「それでも......気の迷いかも知れないでしょ!!それについては考慮すべきじゃないの?!」
「あのなぁ、気の迷いでしたで済んだら街の治安維持をする衛兵も、軍隊も要らんねん。極論やけどな。お前らは知らんかも知れんけど、世の中には昨日まで味方みたいな顔していた奴らがな、旗色悪しと見るや否やすぐに態度を変えて向こうに付くなんて事はざらにある。そんなお前のゆう、騎士道精神に溢れた、物語みたいな綺麗事の世界ちゃうねん」ついつい、はらわたが煮えくり返ってるのもあって、売言葉に買言葉で言わんくてもエエこと喋ってしもた。
「そんな............」
「まあ、んじゃ後はそいつを縛り付けてタルレット先生の所でも持ってってくれ。尋問はくれぐれも手加減するな。徹底的にやってくれ、口を割らん場合には拷問もしてもかまん。ただ、殺しはすんなや。交渉材料にも成り得るからな。宜しゅう頼むわ」
「まって!」
「何や?まだ文句あるんけ?」
「いえ違うの、貴方は人を傷付けて何も思わないの?」
「害する者にはそれ相応の罰を。向こうも向こうで殺しに掛かってきたんやし同じや」
「............分かりました。理解はできないですけど、その獣人のメイドを貴方のクラス担任に渡せばいいんですね?」
「頼むで気絶させといたから暫くは動かんやろうけどなるべく急いでや」
「貴方を追いかけたい所ですけど仕方ありませんね......どこに探しに行くんですか。アテはあるんですか?」
「......ある。結界の大きさと範囲からしてここしかあり得ん場所ってのが」
「この廊下の先ですか」
「ああ、そやな。でも来ない方がええ、死ぬより酷い目に遭うかもしれんで。俺も他人を守りつつアイツと戦う自信はない」
「............貴方にこんな大事な事を頼むのは心底嫌なのですが、レドル様を連れ戻してください。お願いします。お金なら幾らでも......」
「俺が言うのもなんやけどアンタも人間やな。でも、正解やと思うで。幾ら優秀といえど学生がプロ相手にやれる事は限れてる。アンタはようやった。大立ち回りや。報酬は何も要らん.....................意地悪言うてすまんかったな」
「......」
沈黙が場を支配する。これは俺が悪い事は明白なので後ろめたさが半端ない。勢いに任せて言うたけどそれなりに矛盾したモノ言いになってしもた。屑やなぁ、反吐が出る。これじゃあアイツと変わらんやないか。
しむろそれ以下の悪者かもな。
「じ、じゃあ行くわ。ホントにすまん。償いは必ず後でする」
「............分かりましたッ............では......」
振り向く直前に苦虫を噛むようなアンナ嬢の顔が見えた。いかんせん後味が悪い。
そうしてその場を後にして全速力で校長室へ。




