狂信者のお仕事4
普通なら蜂の巣にされてとっくに死んでいただろう。
だが、今俺はそれどころか唯一発の弾も当たっていない。
「ッ!当たらない!!なんで!?」
当たらないのだ。それにはカラクリがある。
一つはコンマ単位で自らの加速と減速を小まめに操る事。
そうすると相手が偏差をして調整したところで既に俺は加速か減速をしとる訳やから偏差射撃は無駄に空を切るだけになる。
幾ら多少人間よりも力強い獣人が扱うといえど、目算からしても2kg以上ありそうなゴツい拳銃でしかも取り回しの悪いドラムマガジンらしき物を二つ持っているんだからその照準を合わせるのでも一苦労だろう。
だから余計にブレる。
付け加えるなら銃弾は跳弾する。
こんな狭い所で連射すれば少し狙いが逸れるだけでもかなりの跳弾が出てくる。
その跳弾を利用して弾同士が弾き合った所に上手いこと体を合わせる。
もちろん一歩見誤れば俺も只じゃ済まないがそれは俺の腕の見せどころ。前後左右から跳弾した弾の間を通り抜けていく。
小金貨一枚以上の価値がある貴重なステンドグラスを躊躇なく砕き、主人の為に人を殺傷する事を厭わないその姿は正に狂信的と言える。
俺も人の事は言えないが。
「痛ッ!」
余計な事を考えていたら弾が掠めた。何とか連続の被弾は避けれたが、今度食らうとナガサワと戦う時に支障をきたす。
間合いに入る、同時にどうしても避けれない弾が当たる。すかさず、テナはそのまま銃剣としてそれを振り回そうとする。
「今だ!!!」そうしてアンナ嬢が撃った弾を避けようとテナは回避機動を取ろうとする。が、その隙を見逃す俺ではない。
重心がずれたその瞬間に横っ腹に蹴りを入れ、倒れた所を馬乗になる。
間髪入れず懐の銃剣を取り出してテナの片腕の付け根に思いっきり突き刺すと、赤黒い血が勢いよく飛び出して、血溜まりを作る。
「い゛た゛い゛い゛い゛い゛い゛ぃ゛ぃ゛ぃ゛う゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛ぁ゛ぁ゛ぁ゛ぁ゛ぁ゛ぁ゛ぁ゛ぁ゛ぁ゛ぁ゛ぁ゛ぁ゛ぁ゛ぁ゛ぁ゛ぁ゛ぁ゛ぁ゛ぁ゛ぁ゛ぁ゛ぁ゛ぁ゛ぁ゛!!!!は゛な゛し゛て゛は゛な゛し゛て゛え゛え゛ぇ゛ぇ゛ぇ゛ぇ゛!!!!」
「肩に刃物が刺さった程度でそんなぎゃーぎゃー騒ぐなや。ちょい″お前″こっち来い。お前やアンナ嬢、取り敢えずコイツ逃げんよう縛っといてくれ」
「え、えぇ分かりました......けれど貴方やり過ぎよ!!」
「何がやり過ぎなんや?」
「女の子相手に......その、乱暴するなんて」
確かに普通ならそうかも知れない。
「温室育ちの甘ちゃんは考えが楽天的でええねぇ」
「楽天的って、どこがよ!言ってみなさい!」




