狂信者のお仕事2
ならばそれを逆手に取らせて貰う。
順番に武器が集められている。当然ボディチェックもある。
とはいっても魔法実技の授業がある訳でもないので、剣やナイフなどの危険物は持っていない。所持している物といえばこの環境下では殆ど意味のないであろう、魔道書か杖かである。
懐に刃物を入れているのも俺ぐらいだろう。
「よし、お前も出せ」
そうして油断している所に右足で挨拶代わりの蹴りを入れるが楽々と受け止められる。
「おっと、危ない危ない!」
騎士が、余裕綽々な態度を見せている合間にもう片方の足に全力を込めて顎を蹴りあげ、黒板に頭を打ち付けて、その勢いで拘束されていた右足を解放し、そのまま一回転。
呆気に取られているもう一人に、黒板に打ち付けられた奴の腰の長剣を抜き、股と腿の付け根の間にそれを突き刺そうとするが流石にそれは全力で止められる。がそれを止めたせいで生れたての子鹿のようになり、構える体勢を解かれてしまっている。
その間に頭へ右ストレートを入れて、いっちょあがり。
後ろの方を一瞥するとそちらの方も騎士が一人ノビていた。
約半数の生徒が消えていた、というよりはそちらで制圧に掛かっていた。
廊下では物を大小様々な物を投げる生徒達とそれに上手く対抗できずに撤退して防衛ラインを築いた騎士団が争っていた。
近づこうにも、割ったガラスの破片などを騎士の顔めがけて投げるような奴もいて、兜も着けずに来ていた騎士達は思うように攻勢へ出れていない。
学校の生徒を人質にとるならばせめて、ポーズだけは完全武装であった方が良いと思うが、魔道士未満の子供なら簡単に押さえつける事ができるとでも思っていたのだろうか。
それとも─────────
ともかく、その光景は最早ギャグである。
魔法を封じられた魔道士程度と舐めていたかならのか、奇襲に対応できずに混乱しているのかは分からないが、ともかく反撃の糸口は掴めた。オマケに、このクラスの″惨状″を見て他クラスでも同様の事が起きているようだ。
元々の警備も一人が上手く暴れるだけで崩壊するというモノにも問題があるような気はする。
アホのせいで圧倒的に少ない人数で警備させられる騎士にも同情したいが、今はそんな悠長な事をしている場合ではない。
「さてと、やりましょか。先生!後は頼んます、騎士は縛っといて下さい」
「あ、ああ......分かった。けどお前、口調が変わったような......」
「まあまあ。ではよろしゅう」
そうして俺は三八式と弾薬を装備して発生源を探す。
取り敢えず結界の範囲を調べる為に外へ向かう。
あまり悠長な事はしてられないが大抵の場合は発生源を当てることができる。
そして外へ向かい、木を伝って塀の上に上がろうとしたところ、そこでバチッという音と共に弾かれる。
そして少しだが集まっている野次馬のそれを見ると大体敷地の前で止まっている、やはりこの敷地内だけのようである。
ここから大体の発生源は分かった。
頭に学校の見取り図を思い浮かべ、それに対角線を引けば自ずと場所は一つに限られる。
この学校の中央にはもといた日本の校長室よりも大きい校長室がある。
あそこなら魔方陣を設置する大きさも場所も最適といえる。
急いで校長室へ向かう。




