狂信者のお仕事1
表向きはいつもと変わらないように過ごす。
少し違うのは皇女殿下がいつもの時間になっても来ないことだ。
護衛対象なのだから普通に心配しなければいけないのだが、今から下手に突っ込むよりは途中まで相手の思惑通りに行った方が相手は成功したと勘違いする。そして、奴は女を殺せない。俺が思った通りの人物であれば。
そうして教師も来て、朝礼が始まる頃。突如として空中の魔力が乱れ、搭載された様々なシステムが使えなくなる。
そして、席に座っていたナガサワが文字通り消え失せる。恐らく幻影の魔法だったのだろう。
すぐさま俺は三八式を景色の一部と同化するように置く。
まもなく、近衛騎士団の団員が来る。
「突然で悪いがお前らの武器を預かる!」
その瞬間動揺が広がる。
「そんなことは職員会議でも聞いていないが」
「今しがた決まった事だ。法律に基づき、諸君らには近衛騎士団の命令が強制される」
「そんな横暴が......」
「バイエルン!!」
「ッ!」抵抗も教師であるタルレットに諌められる。
それも無理はない。一人ならまだしも前に二人後ろに一人の計三人。オマケに足音からして廊下には巡回も居る。
普通の魔道士であれば、誰かが仕掛けない限り、幾ら大人数といえど本格的な剣術の訓練を受けた精鋭に魔法も無しで敵うわけがない。
タルレットも皆の安全を考えての事だろう。
だが、コイツらの目的は帝国政府を相手取った茶番劇を引き延ばすことだ。
腰に掛けているのは訓練用の長剣、本気でやるならば真剣を用いて脅迫し、強制するだろうに。掠った程度では派手な傷にならない。大前提として、その程度の装備で帝国を相手取れるとは思えなかった。




