狂信者とバルトール3
10km以内の魔力密度がかなり濃い。魔力探知装置が大きく、濃い反応を示している。
「どうしたんだいネルラント?」
「いや、何でもない。早く行かないと日が暮れるぞ」
「......そうだね。行こう!」
バルトールの返事までに嫌な間があったが、勘づかれたか。
バルトールは勘が鋭いので気を付けなければいけない
魔力密度が濃いだけでは何も分からないが、行かないことに越したことはない。普通の人ならば気付かない。
同調者である皇女殿下ならば「今日は止めておきましょう」とでも言うだろうが、生憎と今この場にはいない。
それにしても普通、これだけの濃さがあるならば皇女殿下は忠告の一つや二つするだろうに、レドル嬢とのお茶会か何かしているので浮かれているのか知らないがそういった素振りは一切見せなかった。
だが、″ヤバいモノ″なら早めに確認しておかないとマズイ。
どちらにしろ行くしかないのだ。
最悪の場合であっても、バルトール一人ぐらいだったら逃がせる。
取り敢えず言われるがままについていく。
「どうしたんだ?バル坊」
「アガトスさん、こんちは!ちょっとそこまで行くだけですよ~」
「気をつけて行けよ」アガトスという衛兵はこちらに向かって大手を振る。俺とバルトールも手を振り返す。
気の抜けたやり取りだ。保存した戦闘記録から察するに、ここ100年間は襲撃すら起きていないから仕方ないのかも知れない。
そうして森の中へ入っていく。更に魔力探知の解像度を上げて、範囲を絞る。
微妙だ、判断に困る。
単なる濃い魔力だけの可能性も否めない。ただ、嫌に静かだ。




