狂信者と楽しい楽しい昼食()
これが毎回になるのであれば、胃が痛くなるのは間違いない。
「唐突なんだが、奴隷ってどう思う?」
ほら来た。
「うーん、貴重な労働資源かな」
「そうですね。私もそう思います。国家にとっても奴隷というのはどうしても必要になりますし......」
マズイ。二人とも最悪の答えを出してしまった。どうにかしてフォローしなければ二人ともナガサワの餌食になる。
奴の方を一瞥するとマジでキレる5秒前という感じだ。それに気がついたバルトールが咄嗟にフォローを入れる。
「ただ、確かにその風潮はあまり良くない事も産み出しているね」
「そうだろ!俺もそう思うんだ。だから、奴隷制度なんて廃止すべきなんだ!」
その声は偶然にも食堂が少し静まり返った所でそんなことを言ったもんだから、その場に居た全員の耳に入ることとなった。
誰も彼も何も言わない。ただ、今度は明確にナガサワへのヘイトが溜まったように感じた。
これに関して言うなれば、多少にかかわらず奴隷というモノを利用しているからである。
「ま、まぁ素晴らしいお考えだとは思いますが、中にはそれが気に入らない方も居るようですし......あまり大声でおっしゃるのは......」
これにはさしもの皇女殿下もたじろぎつつ、言葉を返す。
「ナガサワ君、落ち着きなよ。ここは皆が使う公共スペースだ、そこを弁えて発言しようね」バルトールも若干焦っている。
「..................」ナガサワは俯いたまま、粛々と食事をしてすぐに食堂を去った。
「ふぅ~危なかったー」とバルトールが完全に気の抜けた声で言う。
「本当にそうですね。ナガサワ様はなんというか......かなり独特なお考えをお持ちのようで......」
「かなりの変り者なので気にしないでください、皇女殿下。私がそういったということはできるだけ仰ることのないよう、お願いします」
【ネタバレ注意?】嫌な人は上の前へ戻るを使って下さい。
まあ、生徒の中で貴族派やら庶民派やら何やら言っていているのって茶番劇なんですよね。
その思想の根底には差別的意識や奴隷を扱き使うことが大前提としてあって、それに現体制に対して本気で対抗しようなんてこの帝立ヴィタメールにはいない訳です。第一そんな生徒がいるなら大事な国の学校に入学させませんよ。余程の実力と学長に気に入られる事があれば別ですが。
どうやって判別するのかって?
歴史の試験ですよ。この試験では特に思想的な面が色濃く出るような解答をさせます。現実でも日本はかなり中立的ですが、海外ではよくある話です。
ある程度巧くやれないとボロがでますよ。
そんなバカ生徒が弾かれるシステムになってたりします。巧くやれる奴というのも入学して次第に噂は広まる訳で、やっぱりそういうのは教師陣が絡んできて厄介ですが、まあ魔法実技中に偶然の″事故″が起きて木端微塵になるだけです。そういう時の付き添いが歴史の先生だったりします。
退役したとはいえ戦場を生き残った魔道士ですよ、並大抵の生徒では敵いません。
本気でやるなら既に何らかの危害が皇女殿下に加えられていますし。
要は子供の戯言、お遊び。日本の国会みたいなモノですね。
いざとなれば介入がありますし。




