狂信者とチェス
特に駒を取り合うこともない、何てことのない序盤。
「ナイトをf5へ」
「クイーンを貰うね、ビショップをb1へ」
「ビショップをf7。チェックだ」
「キングをe7へ」これまで余裕のある顔をしていたバルトールの表情が少しだけ変化する。
「ナイトをd5へ。チェックメイトだ」
「いやぁ~負けたね。これでも君に負けるとは......」
「将棋とチェスは元々同じゲームから発展したゲームだ。だから思考の応用は効きやすい」
「それにしても見事だよ。君らしい戦術とも言えるね」
「まあ戦術を知っていて使えただけだ」
「そうかい。でも一杯食わされたね......それにしても将棋だけでなくチェスでも負けちゃったかぁ......」と残念がるバルトール。
「そんなに落ち込むな。やり続ければ俺程度なら簡単に勝てる」
「そうかなぁ......」
「そんなもんだぞ。俺の実力は」実際のところ、将棋に関しても棋譜検討や、戦術研究をしたのは十三年以上も前だ。
「そっか。じゃあ頑張ってみる!」
「......あっ」全く関係ない話をしている最中に別のことを思い出すというのはよくあることで、それが目の前の人との約束であった場合というのはとても気まずくなる。
「どうしたんだい?」
バルトールに謗られるのを覚悟で聞いてみる。
「買い物はどうしようか......」
チェスについてはレガールの罠を引用




