106/169
狂信者と魔法実技12
なんだかんだで準決勝。
「次!マルクス・フォン・バイエルンとネルラント・フォン・カンベル」
相手はバイエルン侯爵家の子だ、バイエルン侯爵といえば、貴族の中でも私兵の数がトップクラスに多いことで有名で、その量もさることながら兵の質も高い水準を維持していて、おまけに当主も超一流の魔道士。帝国最強貴族の一角で、女帝派が勝った要因の一つでもある。
戦場でもバイエルン侯爵家の紋章は遠くから見ることがあったので覚えている。
「初めましてよろしくお願いします」と一礼。
「おう!よろしくな!」とバイエルン。
かなり口調が砕けている。
貴族特有の堅苦しさが全くない、代わりに暑苦しそうな性格をしてそうだが。
そして互いに距離を取る。
「試合開始」の合図で始まった。
「砂神よ、契約に従い敵を殲滅せよ。結界!!」
バイエルンがそう唱えると一瞬で風が吹き荒れる。思わず目を閉じてしまう。
砂神か、言葉から察するに土属性の魔法、特に砂を操る魔法だ。
下の土を舞い上げてまるで砂嵐の中に居るような感覚、視界も遮られて最悪といってもいい。




