合格報告と任務その1
「よくきたわね、執務室で話しましょう」
そうして執務室へ。
「で、どうだったの?」
「ギリギリ一番上のクラスにつけたよ」
「まあ期待通りね。それと噂になっているんだけど魔法実技で1000/200が出たのって本当?」
「本当だ」
「はぁ、教師陣は全く何やってんだか」
「実力は保障する」
「貴方が言うなんて珍しい、まさか戦った?」
「アレは試合なんてもんじゃない、一方的な暴力だよ。聖剣なんて出されたらお手上げだ、争いを呼ぶものとなるか、新たな救世主となるかそれは分からない」
「そう、まあ貴方は搦め手が上手いだけで能力自体はは私より下だものね。それに聖剣は歴史の激動期に顕現しやすい......加えて私の情報網をもってしても捉えられないなんて、只者じゃあ無いわね」
「帝国は国難を迎える可能性が高いと?」
「そうね、というよりは現在が国難よ。様々な思想と種族が跳梁跋扈していて、戴冠で内戦が起きる国だもの、只でさえ皇家の権力が低下していて法案一つ通すのに苦労する状況よ」
「だが前皇帝時代よりはマシか」
「そうね、それで具体的な任務内容を話しましょう」
「それが本題か」
「当たり前でしょ、まずは妹の名前からね、マリア・ハローネ・クロイセン。13歳金髪に青い瞳、好きなものは紅茶......嫌いなものは私、魔力量は私より多くて氷属性の魔法をよく使うわね、クラスは貴方と同じ特進選抜魔法科。身長は158cm体重は46kg、派閥は前皇帝派、顔もスタイルも良いし、お世辞抜きで中々の好物件だと思うわ」
一瞬だけ女帝の表情が翳っていたような気がした。
「何で好物件どうのこうのが出てくるんだ」
「まあまあ、そうかっかしないの。カンベル伯爵は表向き中立派だけれど裏はがっつり私の派閥、その息子とあの子がくっついてくれると色々動きやすいのよ......だからといって強制はしない。貴方にはたくさん辛い任務をやらせてきたのは分かっているもの......多少の我が儘は聞くわ」
「......取り敢えず、護衛をすればいいんだな」
「そうね」
「それにしても不安なら近衛から派兵したらよかったのに」
「近衛なんてそれこそ思想の渦中よ、それに理事会が許可しないわ」
こちらでも学校というのは政治闘争の場にされているのか......
「理事会?教導省、そして教務卿のご意向だけじゃないのか?」
「学校運営には色んな所が関わっているのよ、それこそ教導省はもちろん、国軍省、魔法管理省、法務省、財務省、治安庁、聖デウス庁加えて貴族の個人融資もあるのよ。そして、教師陣もそれぞれの派閥に所属する」
「よく成り立っているな」
「足の引っ張りあいが凄まじい分、財務状況はかなり良くて、学校にかかる費用は本来の半分に抑えられているからね。偉そうな事は言えないけどね。とにかく、あの子を保護してあげて」
「了解した」
「話はこれで終わりね、じゃあ少しばかりの学生時代を楽しんでね~~」
「............」
女帝の戯言を後ろに執務室を後にする。




