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蒼、ピンチ

ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

8月29日(月)


「ふっ〜、ここが俺らが新しく住む家か〜。」


俺らは、飛行機で3時間ちょっとかけ、新しい二階建ての一軒家に着いた。


ドアを開けて、中に入るや否や昨日まで自分たちが住んでいたアパートとは広さが全然違くて驚いた。


(....さすが、財閥の子会社.....別荘も相当広いな。)



俺の部屋は2階なので、自分が今背負っているバッグなどを持っていき、何もない床の上にとりあえず置いて一階のリビングへと向かった。


リビングにはすでに冷蔵庫など生活に必要なものはある程度揃っていた。


俺らは、引っ越しの整理などで一日が終わってしまった。


ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

9月1日(木)


引っ越してから、3日後


ついに俺の新しい高校への登校日初日である。


(前は、高校デビュー失敗して俺はインキャだったけれど今日からの学校では絶対に成功させてやるぞ。)


小学生からずっと陰キャであった蒼にも陽キャになりたいと思ったことは何度もあった。


蒼は陽キャの仲間入りするため中学生になったときには、

わざと目立つために怪我もしていない右腕に包帯を巻いて登校してみたり、

前の高校では、入学初日から髪をガチガチに固めて行ったりした。


もちろん、そんな目立ち方をする人は陽キャになれず、

陰キャぼっちへと確立されていくのだが....


今回の蒼は過去の反省から、


【陽キャになるには目立つことじゃない。コミュ力だ!】


と学び普通に登校することになった。(コミュ力UPの本熟読済み)


俺は、父と一緒に....えーっと、なんだっけ?

こ、九津振路(ここのつふるじ)大学附属(だいがくふぞく)走道学園(そうどうがくえん)私立栗日(しりつくりにち)高等学校(こうとうがっこう)だっけ?確か。長ぇーんだよな。ここの学校名。あーもういいや。栗日高校(くりにちこうこう)ってこれから略します。(筆者)


俺は、父と一緒に新佐藤家から徒歩20分弱の栗日高校へと向かった。


〜栗日高校〜


「わー綺麗〜。さすが私立の高校〜。」


蒼達は門を潜り抜け、目の前にある大きな校舎を見てそう言った。

今まで公立小中高と上がっていった蒼からすればこんな綺麗な校舎で授業を受けれるなんて最高である。

(蒼はそこまで頭良くないけど)


俺らは、この広い校舎を迷いながらも校長がいる応接室へと向かった。


コンコンッ


ガチャ


「「「失礼します。」」」


俺らはドアをノックして応接室に入った。


「待っておったぞ。佐藤くん。」


俺らの目の前に現れたのは、白い髭を生やしたお爺さん。


父『お久しぶりです。玉田先生(たまちゃん)。』


玉田(たまちゃん)じゃない、わしは、玉田(ぎょくだ)じゃ。。そして、今はこの学校の校長じゃよ。」



(どうやら、このお爺さんがこの学校の校長らしい。)



『いやーすんません。45年近く前のあだ名が抜けなくて...』


「君は、わしのクラスの問題児じゃったからのぉ。」



(あ、なるほど、父さんの元担任がこの校長先生で、それで俺が編入してここに来たって感じか....)


ジーッ


校長がこちらを見てくる。


「君が、佐藤蒼ちゃんじゃな。【九津振路(ここのつふるじ)大学附属(だいがくふぞく)走道学園(そうどうがくえん)私立栗日(しりつくりにち)高等学校(こうとうがっこう)】へようこそ、割とボーイッシュな感じだけど、前の学校では何か、スポーツをやっていたのかな。。。?」


(さすが、校長。ここの学校名をすらすら言えるんだなぁって。。。アレ?今、俺のこと蒼ちゃんって言わなかったか?)


『何を言ってんすか。玉田先生(たまちゃん)。蒼は男の子ですよ。』


男の娘(おとこのこ)ってやつか?心が男の子で体は女の子って言う....」


(なんか、意味違くね?...っていうか俺を本当に女だと思っているのか?なんでだ?この校長。。)


『いやいや違いますよ。玉田先生(たまちゃん)。心身どっちも男ですよ。蒼は。』


「「「 なんじゃと???

       わしの学校は女子校じゃ!!! 」」」


(.....えっ?.....はっ?)


『えっ?マジっすか?玉田先生(たまちゃん)。確かにやけに女子がこの学校多いなとは思っていたけれど。。。。』


(....父さんが言うように確かに校舎を迷っている間女子しか見かけなかった。だけどまさか女子高だなんて....俺は女子が苦手なんだぞ。。。)


「うーぬ。これは、どうしたものか?蒼っていう名前だったからてっきり女の子じゃと思っとったわい。仕方ないけど今回の話は....」


「いやいや、待ってください。俺はどうすればいいんですか?中卒で働くなんて嫌ですよ!

なんか、知り合いの高校で急に入れる高校ないんですかっ??」


俺は、食い入るようにそう言った。


父『そうは言ってもな。蒼...』


校長「うーん」




校長「うーん」




校長「うーーーん」




「「「まっ、いいっか」」」


「わしは最初この()を見て、ただのボーイッシュな女の子に見えたわい。名前も蒼だし気づかれることなんてなかろう。」


(.....ん?


何言ってんだこの”じじい“。


まさか俺を高校(ここ)に入れるわけないよな?...

...いや、まさか。俺のことすでに【この()】って女の子扱いしてるし。俺は、昔から小柄で髪も男子の中では長い方だからよく陽キャにイジられてきたけれど...

流石に女子校は無理じゃry...)


「というわけでじゃ、蒼くんにはこの高校に通ってもらおうと思う。」


(.....やっぱり。。。


いや色々とまずいだろ。男子が女子校に通っているとかもしもバレたら通報もんだぞ。第一父さんが許すはずがないよな。。)


「ねぇ、と、父さん流石に無理だよねぇ〜?」


『いや、蒼。俺は、お前が男の娘(おとこのこ)でも

                いけると思うぞ。」


(.....ん?


何言ってんだこっちの“じじい”も。)


『いやー。お前って一人っ子じゃん。俺、昔から女の子も育ててみたかったんだんだよね〜。』


「ほう、ならちょうど良かったわい。ということで蒼くん...いや、蒼ちゃん、早速入学の手続きへと入ろうか。」


「え...?は....?」


こうして、俺は、このクソ校長とクソ親父のせいで女子校に入ることになった。





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