始まり
これは、高校2年生中頃まで俺....佐藤蒼が思っていたことである。
「女子と話すなんて馬鹿じゃん。女子って身勝手で面倒だし。」
.....そう思っていた。
だけど。。。だけど。。。
「この学校、、女子しかいないって違うじゃん!!。。。」
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(遡ること1週間前)
8月25日(木)
辺りはもう暗くなってきた頃、佐藤家の晩御飯がはじまったくらいの時のことだ。
『あっ、そういえば、蒼。この家を出なければならなくなった。』
父が、箸でおかずをつまみながらそう言った。
そして、俺は聞き返した。
「....は?」
『ったく、聞いてなかったのかよ。もう一回言うぞ、降地市から引っ越さなければならなくなった。』
「「「いやいや、そこはちゃんと聞いてるよ!
なんで、
(今日の野球の試合、巨○が0-2で勝ったよ。)
ぐらいのテンションでこのことを伝えているんだ よ!」」」
俺は、驚きすぎて思わず大きな声が出てしまった。
「え、えーっと。
と、父さんって俺が小さい時、単身赴任に行ったことがあるって言ってたよね。。お父さんだけがちょこっと1週間くらい出てくるってことだよね?」
俺はいきなりの出来事に焦りながらそう応えた。
『いや、家族全員でだ。期間も1週間なんてものじゃないよ。』
「え...?なんで??」
『すまんな。今日の朝、上司から言われてな、、5日後に引っ越すことになった。。』
(......ん?いや、待て。いきなりすぎないか?)
ここで、俺は思った。
父さんが上司から話を聞いてからまだ半日しか経っていない。
普通に考えて早くても引っ越すまでに3週間は有余があるはずだ。
俺は胸を撫で下ろして口を開いた。
「なんだ。嘘か〜。びっくりしたよ。いきなり引っ越すなんて言うからさ。ちょっと信じちゃったなぁ。5日後とか非現実的なことを言うまで気がつかなかったよ〜。」
〈嘘じゃない。本当よ。。。。〉
さっきまで、一切何も話していなかった母がそう言った。
「えーーーーっ!?」
家中に蒼の声が響き渡る。
いつもは、ふざけてばっかりで平然と嘘をつく父と違い母は真面目でこう言った嘘をつかない。
〈お母さんもお父さんも今日は手続きばっかりで半日中ずっと、市役所の方にいたのよ。〉
「で、でも、どこに引っ越すのさ?」
『粋理水県の走道市だ。走道市に引っ越す。』
「い、いくらなんでも、次住む家までは半日で、決められないでしょ!」
『家なら、父さんの会社の別荘を貸してくれるってよ。』
.....そうだった。
父さんの会社は大きな財閥の直の子会社だから別荘の一個や二個くらい持っている。
「わ、分かったよ。父さん。俺だけここに残るよ。」
『何、無茶を言っているんだ。蒼。ここから走道市までどんだけ離れていると思ってるんだ。」
父さんはさっきとは違い真面目な顔してそう言った。
.....そう、父さんが言っているように住んでいる「擦馬県 振地市」から「粋理水県 走道市」まで
600kmほどあり、
お互いの体に何かあったとしてもそう簡単に戻ってこれるほどの距離ではない。
「が、学校、学校はどうするのさ?」
『学校なら父さんの知り合いに話をつけてもらって
【九津振路大学附属走道学園私立栗日高等学校】という高校に編入試験なしで入ることになった。』
(....名前長ぇーな。この高校。。。。)
「いや、そんなことより!
前の学校の友達は?今夏休み中だから報告もできないじゃん!俺だって、今までお世話になった友達くらいには挨拶しておきたいよ!
〈あら?蒼の担任の先生が、蒼くんには、友達がいないからその点は大丈夫だろうって言ってたわよ。〉
「.........................。」
(.....そうだった。俺は陰キャだった。
あと、親に余計なこというなよ。クソ担任。)
こうして、俺ら佐藤家は、荷造りをして粋理水県へ引っ越すことへとなった。