序章07 アレクシアは5歳です 転生しました
2021-01-05改定
改めて部屋を眺めてみると、あれから直ぐに大きな姿見が用意されてたが、何か殺風景な気がするので対策を考えてみる…
そうだ、私位の女の子は大きなぬいぐるみを愛でるモノのような気がするから、一度ルーシーに頼んでみるのもいいかもしれない。
そう思うと取り敢えず実行して見る事にした。
「ねえルーシーお願いがあるのだけれど」
「何がして欲しいことがおありですかアレクシア様?」
「あのね、大きなぬいぐるみが欲しいかなと思って、何か寂しいなと」
ルーシーの表情が驚きとともにすぐに柔和な表情に戻った、意外なのか?
「そうですね、以前のお嬢様は首を引きちぎったりと悪さをされましたが、鏡を割られたこと同じで今ならそんなことはなされませんよね?」
「そんな事はしませんよ」
「解りました一度侍女長に問い合わせてみますね」
そうして、私が以前の様な事はしないと言質を取ると、侍女長に購入してくれるのかを問い合わせてくれる事になった。
それともう一つの事柄を聞いて見る事にした。
「あのですね寂しいという話の続きなのですけど、お部屋に鉢植えを置いて見たいなと思うのはだめですか?」
部屋に鉢植えを置いておくと気持ちが癒されるとか、お部屋の空気もきれいになる気がするからというのが、記憶にあるけどどうなんだろうね?
私の記憶に刷り込まれた姑息な魔女アフロディ-タの記憶のせいもあるのか、植物を眺めるのが好きになっている自分にも驚いている。
まああの人毒草が好きだったけど。
「お花を活けるのではダメですか?」
「うーん、切花は可哀そうな気がしてちょっとね」
「お優しいですね、いつも庭園で眺められていますから解ります、アレクシアお嬢様」
転生して自分の置かれた環境を見る余裕が出来ただけなのですが。
そして習い事をしている間に、ルーシーが問い合わせに行ってくれて縫いぐるみは後日に、鉢植えは庭師と相談して下さいという話だった。
ちなみに新しい庭師さんとの仲は良好です。
そして昼食を済ませると、午後は習い事が無いのでお庭で鉢植えの相談を行う事になりました。
「そうですか、お部屋で鉢植えを観賞されたいとは良いご趣味ですね」
「ありがとうバートンさん、それで特に綺麗な花とかではなく薬草になる花とか何か面白そうなお花は無いでしょうか?」
新たな庭師に就任したバートンさんは熊系の獣人で、初めて見た時は腰を抜かしたけどすぐに打ち解けた。
後で分かったけれどアルフォード軍の裏舞台で活動した退役軍人だそうで、世間の表と裏を色々教えてもらう事になる。
「それは通なチョイスですな、腕の振るいどころです」
「アレクシア様、美しさとか可憐さとかをお求めは無いのですね」
横で控えてるルーシーがアレクシア達の眺めている草花を首をかしげながらのぞき込む。
何故?という態度が身から出ている。
「お洋服とかじゃないのだから求めていないよ、何か別の用途あるお花とかステキじゃない」
「そんな物でしょうか?」
首をかしげるルーシーを尻目に、鉢植えの選定のために庭師のバートンと共に花壇を回って何種類か選んでもらうと、一鉢だけ今日持ってゆくことになった。
そしてルーシーとバートンさんが何やら打ち合わせていると、下腹部にぶるっと来た尿意だ!
「ねえルーシー、おしっこしたくなっちゃったの」
「今からお館まで行きますか?」
「むむり、あそこでしてくる」
「はしたないですよ!」
後ろでルーシーの声が聞こえるが倉庫の横が陰になってるので、慌ててパンツを下ろし用を足す。
『ちよろちょろーーシャーー』
フー生き返ると安心しきった時だった。
「ワーーー!!!」
「キャーーーー!!!!」
突然後ろから両肩を掴まれると後ろへ引っぱられると、足腰の踏ん切りがつかず背中から倒れた。
『シャーーーーーーー』
「やだーーーーーーーー」
慌てて後ろに倒れたのにおしっこは男みたいには途中で止まらないから、顔にまで浴びてしまう。
そんな私をジーっと覗き込む姿が見えた。
「キアーーーーー馬鹿マーティンこっち見んなああああ」
「なにが馬鹿マーティンだ僕を呼び捨てにするな!!、だが割れ目からおしっことは不思議だな」
「ばか、ばかあ!、死んじまえ!!!あっち行け――――」
涙と怒りが同時に込みあがると共に突然突風が周辺に吹き始めたいかん、魔女さんの魔法が無意識に止めなきゃ。
「な、なんだよこれ」
マーティンは慌てて周囲を見渡している。
だが私は恥ずかしさから、今の状況は分かるが感情が受け付けないため冷静な判断が出来ない。
「ア、アレクシアお嬢様大丈夫ですか!!」
慌ててルーシーがこの場に駆け込むや否や、すぐにマーティンが逃走していくと風もすぐに収まっていった。
そしてルーシーに起こしてもらうとガチ泣きをしてしまった。
恥ずかしさと情けなさに涙が止まらなかった私をルーシーはきちんと抱きしめてくれた。
そして泣き止み事情を話すと侍女長に苦情を入れてくれる事となり、とりあえずは鉢植えを一鉢持ってトボトボと館へ歩いて行った。
バートンさんは今の私に何も言わなかったよ大人だ。
そしてお風呂に入り体を綺麗にしてもらうと部屋で鉢植えを眺めていた。
一体なんて事しやがるんだあの兄はと思い出すだけで怒りが込みあがって来ると、突然クロフォードお父様とマーティンが部屋に入ってきた。
「アレクシアよルーシーの報告だとマーティンに不埒な事をされたと有るがどうなんだ?」
「父上ぼくはやってないです、あいつが勝手にコケて僕のせいにしただけです」
「黙ってろ!、それでどうなんだ」
「私がお小水をしていたら大声と共に押し倒して…止まらない姿をじっと見てるんです!!!」
そう涙目でお父様に告発していると、お父様はこめかみを押さえて苦悶している。
「今回はアレクシア、お前が屋外なんかで用を足しているから、近づいて来たマーティンに気付いて慌てて倒れたに過ぎない。
そんな女としての自覚が足らないお前が悪い、だから事を荒立てるな」
「そんな、マーティンが押し倒して私のアソコを凝視してたのですよ!!」
「黙らんか」
バシーーーーン
「キャーーーー」
DoooooOON!!
お父様に強烈な張り手を喰らうと壁にまで吹き飛ばされてそのまま倒れ込む。
そしてマーティンにも強烈な張り手をかますと私に近づいて来た。
そして私の髪の毛を掴んで起き上がらせる。
「口の中が派手に切れてるな、施術師を呼ぶから治療を受けろ。
お前の評判は底なんだから考えて行動しろ、後兄の事を呼び捨てにするないいな」
髪の毛を鷲掴みにして激しく揺らされる、痛いです!
「わ、分りましたお父様」
そこでお父様が手を放すと力なく私は倒れ落ちた。
「い、いかんついやり過ぎてしまったようだ(小声)?パーネル草の鉢植え?趣味も解らん」
そして鉢植えを凝視し呟くとマーティンを連れて部屋から出て行った所で、私はルーシーに運ばれてベットに横たわれた。
「申し訳ありませんアレクシア様、お助けできなくて」
「いいよもう、ルーシーの立場は分かってるから理不尽な事言わないいいたーい」
「お優しいですねお嬢様、次はお守りいたします」
そう手を握られると直ぐ濡らしたタオルで貼れた頬を押さえてじっとしていると怪しい人ローブ姿の老人が現れた。
アルフォード家の施術師という人だそうだ。
聞くとこの世界では怪我を負った場合中上流階級は施術師によるヒールという術で治療するそうで、庶民や冒険者などは薬草を使うことが多いとかなんとか。
「お嬢様私施術師のハルムと申します、痛みの個所は腫れている頬の辺りだけでしょうか?」
「はいそうです」
「分かりました、力を抜いてください」
ベットの上で上向き横たわると、腫れた患部に手を添え何が呪文を唱えると患部が少し暖かくなるが、徐々に冷めてゆく感覚が5分程続いた。
そして施術師の力というものを盗もうと神経を集中して見つめている。
「アレクシアお嬢様もう大丈夫ですよ、後一時間ほど横になってもらえれば大丈夫です、頬の腫れは残りませんから御安心を。
所でお嬢様は魔力持ちやもしれませんね」
「どうしてですか?」
「お身体から魔力に近い感じが発せられておりましたのでそんな気が、まあお気になさらないでください、只の独り言ですハハハハ」
(私めは先代様と懇意ですゆえ悪いようにはいたしません、御安心を)
そう耳元で小声で告げると施術師ハルムさんは部屋から去っていった。
盗み見した時魔力が漏れたのかな?そう考えつつ治療魔術を目のあたりにして興奮が止まりません、凄い異世界!
じゃなかった、お父様は私の言う事を聞いてくれないし、思いっ切り打たれるし色々やりづらそう…
マーティンは嫌らしい目付きでアソコを見てるしなんか嫌だな。
ああ、男と女の子との羞恥心の違いなのかな…妙に恥い。
あれやこれやと考えると眠りに落ちていった。
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「クロードよアレクシアを随分厳しく躾けとるそうだな」
「父上ご存知でしたか、相変わらずのアレでしたのでついカッとなりまして、ですがマーティンにも公平に制裁していますよ」
「アレクシアに施してる教育はワシの方でさせるから暫く距離を置かないか?
以前のように力で押さえつけると今のあの娘は必ず歪むぞ。
うむ、やはりアレクシアに手を上げ過ぎだ」
「いえ、あの顔を見るとつい手が出てしまいまして…」
「アレクシアが桃色髪なのは嫁の実家に問い合わせて、不義の結果ではないと判ってからどれだけの時間が経ったと思うておる?」
「・・・」
「ならワシの所に通わせてお前達から少しだけ距離を置かせてもらうぞいいな、どうせバカ嫁はアレクシアに関心がないんだろ」
ドン!
「妻の悪口はやめていただきたい父上…どうぞご随意に」
そうして、アレクシアの教育はエドモンド達に委ねられる事となった。
尚、アレクシアの髪の色と不義の話は、常識ではソウミィ人の女と他の人間族の男の間では人間族側の外見で生まれ、逆では桃色髪の者しか生まれないという事となっているが、アレクシアがソウミィ人の外見である桃色髪の赤瞳で産まれた為、オリアーナの実家を巻き込んだ大騒動となり数例の事案例を見つけ、不義の疑いが晴れる事となった。
以降成長すると獣状態のアレクシアを見て、騒動の原因であるアレクシアを嫌うようになった。
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「思いっ切り打たれた…あいつよりましだけれど」
「でも、アレクシアと話す切っ掛けが欲しかっただけなのにな」
「何かあの情景が忘れられない…アレクシアもよく見れば可愛いかったしな」
「あ、どうしちゃったんだ僕は…」
そこに何かをこじらせた少年が一人いる中、アレクシアは自ら開発中の超能力の体系と魔女アフロディータの魔法、ハルムの施術魔法を使えるように見つからないように訓練に励むのであった。
傷口を作ってと、拾った金属片を指先に当て軽く引くと傷口が出来、血が流れる。
そして指先を傷口に当て、エネルギーを循環させ指先に集中し、傷口が塞がり元の状態に戻るのをイメージしつつ念じる…
「塞がった!、いける!!」
傷口が塞がっただけではなく、痕が残らないようにきれいに治っている。
自分の能力に気を良くしたのか次は、パーネル草の葉をスプーンで潰した物に指先を当て魔女の記憶を頼りに念じると潰した葉が変異し液体へと変わった。
「これって錬成術だよね、うん、いける」
ペロ
「んーーーーーー!!!」
あ、アレクシアさま!!!
製錬した毒薬を舐めてしまい昏睡すると、1週間くらい寝込んでしまった。
そして後に庭園跡の薬草を使い色々試すうちに、毒への抗体が出来てることに気づかないままでいた。
この錬成でよく昏睡することが続いた為、アレクシアは病弱なイメージが流されることなった行った。
それらの鍛錬を侍女達に知られる事なく、就眠時間を利用して各種能力の鍛錬を行うのであった…