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前章その10 アレクシアは8歳になりました

改定

2020-08-15

森に中の小道を抜けると大きな広場に出て、白い大きな建物が見えます。

あああ、帰りたくないな。

隣のルーシーを見上げると目をつぶって首を横に振られます、トホホ。


そして私の姿を目にすると使用人達が頭を下げ通り過ぎて行きます。

これが嫌だからいつもは裏口を使うのだけど今回は表口からです。

すると家令の若い男性が小走りに近づいてきます。


「アレクシアお嬢様お身体の方はお宜しいので?」


「ええ大丈夫です、お父様に取り次いでもらえる?」


「はい、お姿を見かけましたらお連れするようにとの御指示ですので、こちらへ」


家令を先頭に私、ルーシーという順で屋敷に入ってゆきます。

廊下の隅からジャクリーン姉様とマーティン兄様が様子を窺っていますが無視。

そして控室に通されると、家令は少し待つようにと告げて去っていった。


「ああ、ついに来た、ルーシーどうしよう!」


席を立ちルーシーに抱き着くと、頭をそっと撫でられる。


「大丈夫ですよお嬢様、素直な気持ちで臨みましょう、ですが考えて発言しましょうね」


「うん、気を付ける」


そうしてルーシーに抱き着いて気分を落ち着かせたところで執事が入って来て、そのままお父様の待つ執務室へと入室していった。

驚いたことにお母様もいた。


「おはようございますお父様、お母様、アレクシアNアルフォード出頭しました」


「査問じゃないぞそう固くなるな、おはようアレクシア、見事な回復ぶりだな、ルーシーもだが」


「はい、ハルムさんの施術のお蔭です」


ルーシーは会釈で答える、いよいよ始まったお父様との闘い、いったい何を吹っかけてきますやら要警戒です。


「そうか、あ奴も外傷の治癒は強いからな、後で褒美でも与えて置こう、まあ座れ」


お父様の横には今日はお母様が付いていて、冷酷そうな目で私を見つめている。

そして応接間の椅子に着座すると、お父様やお母様付きの家令たちが部屋から退出するので、ルーシーも退出しようとするがお父様に留め置かれて私の側面に立って待機していると、お父様達が対面に着座した。

そしてしばしの沈黙、そしてお父様から話を切り出された。


「色々お前に聞きたいことがあるが、まずは一つ目、お前は魔術が使えるのか?」


「御免なさいお父様、知らない内に身体強化の魔法が使えてしまってこっそりと鍛錬してました、御免なさい」


「なんで私に言わなかったんだ?」


「だって、ぶたれると思ったら怖くなって…」


お父様の顔が険しくなるが、お母様がお父様の手に触れると、お父様の落ち着きが戻っていくのが目に見えるようにわかっていった。


「あなた、厳しく当り過ぎたようで萎縮してしまっていたようね、不味ったわ」


「そうか、すまなかったな、お前の姿を見るとついカッとなってしまってな父上達にも言われたよ、今後は私も落ち着こう。

所で他には何かできるのか?」

「他は何もできません」


「本当か?」


「はい」


お父様の冷酷な視線を浴びながらも、落ち着いて答えようと頑張ってみる。

さすがは辺境伯家の当主を体現している眼力と実感した。


「そうか、そして二つ目は”護身術”を習っていたそうだが何を考えてるんだ?昔のアルフォード家は娘にも習わせはしたがな、習いたいのか?

朝のランニングも戦闘を意識した走り方との報告も受けてる、ん?どうしたいんだ?」


どうしようか、転生前の小説みたいに戦える令嬢になりたいとか言ったらはり倒されそうだし…ん、困った。


「戦える力があれば、こ、近衛、女近衛騎士とか色々選べられるかなと思いまして」


「父上の入れ知恵か、図書庫を漁ってるそうだから怪しい知識でもかじったか?」


「い、色々調べたら面白いかなと」


「ふん、お前は辺境伯家の令嬢だからどこかの家に嫁に出される道しかないぞ。まあ昔の悪評からか寄子や近隣の貴族達からは避けられてはいるが…」


「お父様私の嫁ぎ先は決まっているのですか?」


「いや、決まっていない。外に出せるオリアーナの娘はお前だけだからな、噂で聞いた上位貴族への妾の話とやらはないから安心しろ」


以前夜勤で来ていた下女達に漏らした話が伝わってるな、艶本や前世のエロ同人ネタの冗談話ですが脂ぎった中年オヤジに身体で御奉仕なんてまっぴらごめんです。

御爺様みたいな人なら良いけど…ゲフンゲフン


「ありがとうございますお父様、習い事はきちんと受けていますから”武の鍛錬”を行う事についてはお許していただけないでしょうか?」


「まあ、習い事に支障が出ないようであれば今まで通り父上の所で”護身術”を習うことは許そう。

報告を聞くと令嬢としての習い事の態度と成績は優秀だからな、頑張りは認めよう」


「ありがとうございます、お父様!」


「あっああ、そのまま励むがいい」


お父様が珍しく驚いた表情を見せている、私が素直にほほ笑んだ表情に驚いているのでしょうか?


「大したものよ、ジャクリーンが貴方の年の頃と比べれば立派ね、芸術系は酷いものだけれど、他国の言葉や古文書までその年でマスターしてるとは驚かされるわ。

でも私のお転婆だった頃のような所まで似てしまうとはね、避けてきたけど私の実家の血が出ちゃうようね」


「お、お母様…」


初めてお父様やお母様に褒められたのは初めてだけれども嬉しいものだね、お母様は微妙だけれども、でも油断したら殴られるからここは気を引き締めなければと、心をもう一度引き締めたのでした。


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