序章02 アレクシアは5歳です 転生しました
改定
2021-01-03
ルーシーに頼んでパンツを用意してもらう間、ワンピース型のパジャマの裾をめくってみて溜息が出る。
トイレで確認したとはいえ、あんな顔してるから付いてるわけないんだよな。
そうこうしているとルーシーがパンツを用意してくれる。
ドールに履かせるような大きいカボチャパンツだ。
「アレクシア様、そこはじろじろと人前で見ていてはいけませんよ、めっ!です」
「ごめんなさい」
「聞き分けの良いアレクシアお城様には慣れませんが素直なお嬢さまは好きでございますね、さあお足を上げて下さい」
そう言われて膝まで丈があるパンツを履かしてもらうと、もう一度ベットの中に潜り込む。
そして考える、これからどうしようかと。
当面は女児を演じて情報収集し、生活上の失敗をしない様にしようと考える。
転生前は特に学があるわけでなく、女に相手もされないボッチな嫌われ者で素人童貞で来たからな、せめて過労で倒れない人生を送りたいものだ。
そう考えていると廊下で声が聞こえてきた。
「おいルーシー!、アレクシアが目が覚めてから何やらおかしくなったって本当なのか?」
白髪が混ざった金髪の初老の老人が、妻らしい茶髪の老婦人と老人に似た金髪の10歳位の女の子を伴って部屋へと入ってきた。
俺は正体を確かめるべくルーシーに確認を取ってみる。
「ねえルーシー、こちらの方々は御爺様と御婆様と御姉様ですか?」
「そうですアレクシア様の御爺様であらせられますエドモンド様とその奥方様のクローイ様、その御隣の御方は従姉様のアルバータ様です、姉君は他に居られますよ」
そのように聞かされると、父親も金髪だし家系の血筋が濃く出てると金髪碧眼かと思いつつ、慌ててベットから起き上がり体を御三方の方へ向けると頭を下げる。
私は母親似だね。
「御爺様、御婆様に御姉様ご迷惑をおかけしましたです、頭を打ったからなのか自分が何やら分からないのです、御免なさい」
「何だその物言いは!お前は何者だ!!ハアー!!!」
行き成り祖父らしき男から殺気を放たれる、こんなのは街のごろつきとはレベルが違う威圧だ。
だが何故か動じないのが、今の精神というのかこの体何でだ?
余りの状況の不可解さに老人を見て首を横に傾げると、老人の表情が元に戻り柔和な表情へと戻って行く。
「これに動じないとはな、以前のアレクシアなら反応して飛び掛かって来るやもしれんのにな、おまけに仕草も可愛くなりおって」
「あなた、やり過ぎですよ、見た感じから以前とは違って穏やかになったから宜しいではありませんか、私は好きですよ」
「ありがとうございます御婆様、右も左も分からないですのでよろしくお願いします」
「あなたは不思議な子というのは以前から知ってるからいいのよ」
不思議な子?と疑問に思いつつ頭を下げると、御婆様に頭を撫でられる。
生暖かい雰囲気は悪くはない、そうしていると少女が口を開く。
「あの凶状持ちのアレクシアなんですよね?確かに違いますねまるで別人」
老婦人の横で服の裾をつまんで覗き込んでくる少女が呟いている。
腰辺りまである明るいサラサラな金髪の女の子で、驚いた表情を見せているクール系美少女の顔。
整った顔つきだ、、、でも凶状持ちは無いだろう!何だよソレ!。
前世の記憶を頼りにかける言葉を考えつつコンタクトを取ってみる。
「あのう綺麗なあなたはアルバータお姉様でしたね、よろしかったら私をお友達にしていただけませんか?」
ああ、赤面したくなるセリフ、前世だったらこんな真似できないが勝負してみる。
「ベ、別に従妹ですから友達じゃなくても構わないのですが、以前みたいに戻られるようでしたら仲良くはお断りですだけどあなた5歳でしょ、?…」
少々頬を赤らめながらながらも返答してくれたが最後は首を傾げてた、確かに変な5歳児!だけどとにかく深くは考えないようにして、おもねる様な前世のような態度をとってしまう…
そして少しずつ御爺様達と言葉を交わしていると、御爺様達を呼び出す使いの人が現れたので御爺様達はアルバータお姉様を残して一旦離れていった。
「所でアルバータお姉様は、御父上に付かれてここに来られたのですが?」
「本当に判らないのね、私は貴方のお父様の兄の娘なんだけど生まれた時には死んじゃっていて、母もいなくなったから御爺様の養女になってここから少し離れた別のお屋敷で一緒に住んでるわ」
「そうなんですかごめんなさいです」
「本当しおらしくなっちゃったわね、いいわよお友達になってもそうね貴方の姉のジャクリーンが今のあなたを見てどんな反応を示すのかが、身近で見れそうで面白そうだし」
「もしかしてジャクリーンお姉様?とは仲が悪いのですか?」
私に少し邪悪な微笑みを見せながら問いかけには答えず、私の髪を串で優しく梳いてくれてるアルバータお姉様だった。
だが意外とメンドクサそうな性格の娘なのかもしれない。
そんな女の子相手のスキルなんて持っていないぞ!
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そして別室では祖父である先代エドモンド拍と現辺境伯である父ブラッドとの会談が行われていた。
「父上いかがでしたかアレの様子は?」
「アレとは相変わらずだな、見た所別人だな魂憑きかと思うて殺気を飛ばしても無反応だったぞ」
「無茶をされますな、そうでしたか、でしたら怪我をした事をこれ幸いにして反省し心を入れ替えたと思うしかありませんが、監視はしておいた方が良いと思いますが?」
「そうだな、お前が良ければワシが面倒をみようか?、殺気に動じぬ鈍感なのか豪胆さなのかは分からんが今のアレクシアなら面白そうだ、監視の方は引き続きルーシーたちに面倒を見させるようにしようか、せっかく侍女見習いから侍女へと昇格させたんだ、頑張ってもらおう」
「成程構いませんがルーシー達には甘いですな父上は…、私は今のアレでも私は苦手です」
「まだそんな事を言いよってからに・・」
突然性格が変わったアレクシアを不審に思いつつも見守ることにした二人は、アレクシアのこれからにどんな影響を与えるのかはわからない…
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そうしてアレクシアのいない間に話がまとまっていた頃、アレクシア達の部屋に新たな訪問者が訪れた。
「下女よアレクシアがまともになったというのは本当なのか?」
「どうせお父様達を振り向かせる為の嘘なんでしょ、さっさと返るわよマーティンこんな陰気な所にいたくないわ!」
「いえ、アレクシアお嬢様は今や立派なご令嬢様です」
「本当かどうか見せて見ろ」
「いけませんマーティン様!」
外が騒がしくなったと同時に扉が開くと大人しくしているアレクシアの髪を
優しく梳いているアルバータの姿に、二人の男女の子供が驚きの表情をしている。
「あらジャクリーンとマーティンどうしちゃったの驚いた顔をして?」
「何であんたがここにいるのよアルバータ!いつもおじいさまのお屋敷に引きこもってるくせに!!」
「居ちゃダメかしら、小さい頃は一緒に良く遊んだじゃない冷たいわね、それにルーシーは下女じゃなくで侍女よ、後でおじい様に叱られるわよw」
「し、知らないわよそんな事!ところであなた、そいつのせいで本館に来るのを止めたんでしょどうしてよ?」
「状況は刻一刻と変わるのよ」
「何それムカつくーー!!!」
二人の姉が口喧嘩をしている横で、多分俺の兄らしい少年がポーとした表情で俺を見つめている。
何だか怖い。そしてそうこうしている内にお父様達が戻って来た。
「お前達何をしてるんだ」
「お父様いえ、少し化け物の様子を見に来ただけです、行くわよマーティン」
「引っ張らないでよ姉様!」
姉に手を引かれて去って行く二人を見送ると、お父様達と見つめ合う。
「ほう、もうアルバータと仲良くなったか、まあいい頼むからこれからは大人しく過ごすようにな、そうでないとアルフォード家から放逐せざるを得ないからな」
「判りましたお父様」
結構アレクシアの立場が崖っぷちだったのねと思い知らされる。
これは気を付けて振舞わなければ。
「アルバータも良かったらこの子の事を気にかけてやってくれないか」
「判りました御当主様」
椅子から立ち上がると軽く頭を下げているアルバータさんの応対の仕方も臣下みたいだ。
「・・・それでは政務に戻りますゆえ後は任せします父上」
「ああ、分った」
何かアルバータお姉様を見て何か言いたそうな感じがするか、踵を変えて父親がこの場から離れると祖父母と従姉とメイドが部屋に残された。
「アレクシアよ聞いての通りだ、これからはあ奴の前では上手く振舞うのだぞ何事も本能でなく考えて行動するように、いいな」
「判りました御爺様、ほうちくされないように頑張ります」
「その心意気や良し!
暫くはわしがアレクシアの面倒を見るから。皆も心して置け」
「はっ」
お爺様の言葉に皆頭を垂れる姿を見て何やら凄い人物と実感する。
そんな状況にポカンとしている私にお爺様が近づき、頭上をポンポンと軽くたたかれると、それからあれこれ尋ねられ切りの良い時間なったのか御爺様達は去っていった。
御爺様達は優しそうな人達の用だがアルバータ姉様は人形のような感じだな、大人びてるが今は亡き長兄の娘か、男なら家督騒動の火種かもね…
そして実の姉と兄とは上手く行きそうにない雰囲気か、先が思いやられるな。
ちなみに兄のマーティンは2歳年上の7歳、王都に進学中の長兄が12歳
ジャクリーンとアルバータが9歳だそうな。
ちなみに家は辺境伯伯爵家という大貴族だけれど他に側室やら愛人の子共はいないとかうーん以外。
色々の出来事によって頭の中で纏めようとしてみたけれど何だか無理が効かず疲れた。
もっと訪ねたいのだけれど。
元に戻るとかは特には思わず、何とか明日からは状況を考えつつ頑張ってみようと心に誓うのであったが眠くなった来た・・・
そういえばお約束の神様には会わなかったな…