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家族になりました

 とりあえず、荷馬車に向かい荷物の箱を開けていく。


「いた……」


 様子を伺うと二人とも眠っているようだった。


「外傷もないようだし、ほんとに眠ってるだけみたいね」

「みたいだな……無事でよかった」


 ほっとしていると二人が起きてきた。


「あれ、ここどこだ……」

「あ、おはようなの」


 やはり、特に異常は見られない。


「二人も元気そうね、ところで今の状況わかるかしら?」

「へ? いや、ごはん食べてたとこまで覚えてるんだけど……」

「えっとね、エルフのおねーちゃんが悪い人でね、ごはんに薬入れてリコたちを眠らせたの」


 意外にもリコが状況を把握していたようだった。

 きっと怖い思いをしたに違いない。


「え! そうなのか? じゃあ、にいちゃんたちが助けてくれたのか。ありがとな!」

「あぁ、間に合ってよかったよ。リコも、怖い思いさせてごめんな」

「リコは別に怖くなかったの」


 強がりでもなく本当に怖くなかったように見える。


「そうか、リコは強いんだな」

「リコは強くないの。ただきっと迎えに来てくれるって思ってたの」


 まっすぐこちらを見て答えるリコの目に飲み込まれそうになった。

 これが聖人の適性というやつなのだろうか。

 いや、ここで聖人だのなんだのは野暮な気がする。


「そっか、ありがとな」


 助けたはずが、逆に救われた気がする。

 思わず抱きしめてお礼を言ってしまった。

 お礼を言うのはこっちなのとか言ってるけど、気にせず頭を撫でた。




「二人とも無事か?」


 応援の警備兵も駆けつけたようで、ファルケンがこちらに、様子を確認しにきた。


「あぁ、問題なさそうだ。そっちは大丈夫か?」

「俺は平気だが、ラビリスがちょっとケガしちまったな」


 そういや、俺が思いっきり蹴飛ばしたな。


「悪かったな。これでも飲ましてやってくれ」


 こっそり《クローゼット》からポーションを取り出し、ファルケンへと渡す。


「別に助けるためにやったことだから、気にしなくていいんだが、これは?」

「うちの妹特製のポーションだよ。良く効くぞ」

「……そうか、色々すまねぇ」

「気にするな」


 部下の警備兵を呼び、ポーションを渡して、色々指示している。

 一応、ちゃんと隊長できるんだな。

 そのへんはラビリスとかがやってそうなイメージだったわ、なんかすまん。

 しかし、こいつ強かったなぁ……レフィーラは俺の実力は王国の親衛隊長クラスと互角で戦えるとか言ってたのに。

 俺は町の警備隊長レベルなんだな……慢心しないようにがんばろう。


「それで、俺たちはもう宿に帰ってもいいのか?」

「あぁ、話も大体聞いてるしな。もう帰って休んでくれ」

「そうか、それじゃあな」


 いや、ほんと今日は疲れた。

 さっさと帰って、寝るとしよう。

 子供たちも目をこすってあくびしている。

 真夜中だしな。


「宿まで少し歩くけど大丈夫?」

「大丈夫だよ、おねーちゃん」

「まぁふたりとも辛かったら言えよ。おんぶしてやるからな」


 そう言うとリコがこちらをじーっと見つめている。


「あのね、お願いがあるの」

「どうした?」

「えっとね。おとーさんって呼んでもいい?」

「……え?」


 ――頭が真っ白になった。


「ご、ごめんなさい! 今のは、なしでいいの!」

「キョウスケ」

「え? あ? いや、その」


 レフィーラに声掛けられるまで、どんな顔をしていたんだろう。

 いけない、子供たちが不安そうな顔をしている。


「問題ないぞ、好きに呼んでくれ」

「……いいの?」

「俺もとーちゃんって呼んでいい?」

「あぁ、今日から俺はお前たちのおとーさんだな」


 本来なら思うところはたくさんあった。

 でも、この子たちの顔を見たら、自分の自己満足の思いなどは些細なことなのだとも思った。

 罪滅ぼし? なんでもいい、俺はこの子たちの父親になろう。


「おとーさん!」

「おう!」


「とーちゃん!」

「おう!」


「お父さん」

「おう! ってお前は違う! つか、お前はお母さんだろう!」


 レフィーラも呼んできたのでつっこむ。


「おねーちゃんはおねーちゃんなの」

「リコも俺もかーちゃんは、いたからな」

「……そうか」


 まずはこの子たちと色々話をしよう。

 知らないことが多すぎる。

 それがきっと家族になる為の第一歩だろう。


「とりあえず、今日は宿でゆっくり休みましょう。その後、落ち着いてからゆっくり話しましょう」

「そうだな、それがいい」


 こうして俺たちは宿へと帰っていった。




 あ、帰る途中でハチを紹介した。

 決して忘れていたわけじゃない。うん、きっと、たぶん。


『絶対、忘れてたっすよね!?』


 子供たちに大人気だったし、別にいいじゃないか。


『やっぱ忘れてたんじゃないっすか!』


 ちなみに魔剣状態は見せられない為、喋る魔獣犬として紹介した。

 周りには内緒であることも言い含めておいた。


『無視っすか! ひどいっす!』


 そんな、拗ねるなよ。ほら、よしよしよし……。


『そ、そんなんじゃごまかされないっすよ!』


 尻尾めっちゃ振ってんじゃん。

 こいつ、そのうちホントに犬になるんじゃないか……。


「わおーん!」






「ファルケン《()》隊長、任務失敗ですね」

「カミリアが魔眼持ちなんて聞いてねぇよ」


「そうですね、キョウスケさんたちがいなかったらって考えたらぞっとしますよ」

「……あいつら一体何者なんだ」


「純粋な戦闘力だけなら隊長クラスとも渡り合える副隊長と互角かそれ以上ですか……」

「……あの妹もやばそうだったぞ」


「まじですか……ポーションもすごい効き目でしたよ」

「……とりあえず、王国に戻るぞ」


「そうですね、報告しませんとね……」

「情報収集だけは続けとけ」

「わかってますよ」

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