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プロローグ

初投稿です。

毎日投稿は無理ですが、よろしくお願いします。

 その日は、来週に迫った子供の誕生日のプレゼント買うために仕事帰りにショッピングモールへと行った。


 流行のおもちゃを購入にして、子供の喜ぶ顔を想像しながら、にやにやと歩いていた自分は相当怪しかったに違いない。


 せっかくだから今日も笑顔が見たいと思い、甘いお菓子をお土産に買おうとしたのだが、それが全ての始まりだった――。




 同じショッピングモール内のケーキ屋へと到着し早速注文。


「いらっしゃいませー。何にいたしますかー?」


 来週の誕生日にケーキは食べるしな……よし。


「ええと、それじゃシュークリーム4つください」


 自分を入れて嫁と子供2人分だから4つでいいだろう。


「ありがとうございます。会員カードはお持ちですか?」


 笑顔の素敵なおねーさんだが、うちの嫁には勝てないな、うん。


「あぁ、確か前に購入した時に……」


 そう言って財布の中を確認している時だった。




「ああああああああ! しねええええええええっ!」


「うわああああああ!」

「いやあああああ!」




 突如、近くの広場から大きい叫び声が聞こえた。


「え!? な、なに?」


 ケーキ屋さんの店員と驚きながら声の方を確認すると男が刃物を振り回して奇声を上げていた。何人か人も倒れている。


「あ、これはやばい……。おねーさんも逃げた方がいいですよ!」


 一目見て、この非現実な光景に目を奪われ体を硬直してしまったが、同じく硬直している店員さんに声をかけ、反対方向へと逃げ出そうと――。



「おかあさあああん!」



 刃物男の近くに女の子が倒れていた。うちの子供と同じくらいの年齢だった。でも、うちの子供は2人とも男の子で別に似てもいない。


 ただ、どうしても自分の子供と重なって見えた。


 わかっていた。頭では。でも胸が締め付けられた。


 気が付いたら荷物を捨て走りだしていた。


 刃物男に向かって――。





「おめぇもころしてやるううううう!」


 女の子に向かって刃物を振り下ろそうとしていた。


「させるかぁ! このボケぇ!」


 肩口に飛び蹴りをかまし、刃物男を吹き飛ばした。正直、頭に血は上っていたが刃物は怖いので飛び蹴りにした。


「だいじょうぶ!? 早く逃げて!」


 女の子に声を掛け、すぐに逃げようとした。


「ぁ……ぁ……」


 女の子は怖さに震え、動けなかった。そりゃ、そうだろうな。大人の俺でさえ怖い。抱きかかえて逃げようと駆け寄ろうと――。


「いてええええな! こらあああああ!」


 刃物男があっさり復活してきた。所詮素人の飛び蹴りなんて、派手なだけダメージは少ない。やっぱり、怖くても体当たりのほうが良かったか……。


「おめえも死ねやああああああ!」


 男が刃物を右手に持ち向かってきた。


 ――くそおおお!逃げ出したいが女の子が!


 右手さえ抑えて、なんとか食い止めれば――。


「しねえええええ!」


 男は刃物をまっすぐこちらへ突き刺してきた。


「しゃあああらあああっ!」


 気合を入れ、体を捻り左の脇に相手の右手を挟んだ。一生のうちでこれほどに気合を入れて、叫んだことはなかっただろう。


「はなせえええ!」


 刃物男は右手を引き抜こうと暴れ始めた。


「放すか馬鹿っ!」


 命がかかってるだけに俺は左脇に渾身の力を入れ、もう片手は相手の胸倉を掴み牽制していた。


 これで、このまま警備員が来るまで抑えていれば――。

 

 甘かった。それはもうシュークリームよりも甘かった。




「は……?」




 何が起きたのか分からなかった。

 ただ、右脇腹が熱かった。



「ふひひひひ、しねしね」



 刃物男が笑いながら、左手に持ったナイフで俺を何度も刺していた。とっさに右手で相手の左手も掴んだが、すでに数回刺されていた。


 ――もう一本持ってたのかよ……。


 痛みも自覚して、力も入らなくなってきた。



「ひゃははははは! ばーかばーか!」


 刃物男は愉快そうにしゃべっていた。


 俺はこいつに殺されるのだろうか……。


 今、手を放したら確実に殺されるだろう……。


 後ろの女の子も殺されて……。


 妻や子供にも会えなくなって……。




「そんなこと認められるか、このやろおおおおおっ!」




 火事場の馬鹿力というやつなのだろうか。人間死ぬ気になればなんでもできるということだろうか。まぁ実際死にそうなんだが。



「ひゃははは……は? へぶしっ!」


 俺は笑っていたやつの顔面へと全力で頭突きをかました。


「ふっざけてんじゃねえぞ!」

「じぇび!」

 

 両腕で相手をがっちり固定して頭突きをかました。


「おれはまだ!」

「どぅぶ!」


 こっちの額も割れたが頭突きをかました。


「こんなとこで!」

「もうやめ! おぶっ!」


 相手が懇願してきたが頭突きをかました。


「死ねるかあああ!」

「……」


 相手が気絶をしても頭突きをかました。




 何発、頭突きをかましただろうか。いつの間にか地面に倒れこみ、意識も失おうとしていた。


 ――あぁ、くそ……あいつらを置いて死ぬわけにはいかないんだっ……とーちゃんは帰るからなっ……


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