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3.三日目の正直


 真犯人が自首すると言う作戦を控え、俺は何故あのキャプテンが死んだのかを考えていた。あのキャプテンも神様ゲームの参加者であり、ゲームオーバーになってしまった。こう考えるのが自然だが、俺の名前を書き残した理由だけが腑に落ちなかった。




〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜





「あの、私、犯人なんです・・」

「は?あなた、名前は?」

「鮎川千尋です」


「どう言った用件ですか?」

「ですから、私、実は犯人なんです」

(ちょっと、誰でも良いから刑事課、こっちに来て!)


警察の窓口でお粗末な会話が繰り広げられていた。



千尋は取調室に移された。


「君は、鮎川千尋さんですね?どう言った用件ですか?」

「私は野球部の先輩を殺害した犯人です」


「そうですか、動機は?」

「私の大好きな敦くんのことをバカにしたようにいうものだから、カットなって突き飛ばしてしまいました」


「何と言ってバカにしたのかな?差し支えなければで構わないが」

「部活もやらないクズとか、野球から逃げ出した卑怯者とか・・」


「そうですか。被害者の手のメモに心当たりは?」

「知りません。驚いた私はその場を走り去りました。その時、まわりには誰も居ませんでした。今回の事件、敦くんは何も知りません」


「そうですか、朝比奈くんは関係がないと?もう少し詳しくお話を聞く必要がありますね」

「あの、学校や家族には、まだ黙っていてくれませんか?」


「そのつもりだよ、安心してくれ」


(留置されていた俺は釈放される事になった。千尋、ありがとうな)



 これで、真犯人を探すってのが、ミステリー小説などではお決まりのパターンなのだが、今回の犯人は間違いなく神様だ。古今東西、神様を容疑者として逮捕するなんて話は聞いた事も無いし不可能である。今の俺に出来る事は、期限まで生き延びる事だ。




〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜




「鮎川さん、もう一度お聞きします。被害者とは面識があったのですか?」

「いえ、ありません。たまたま通りかかったら悪口が聞こえたから近づいただけです」


「おかしいですね。それでは、被害者は独り言で誰かの悪口を言っていた事になりませんか?」

「分かりません、誰かいたのかもしれませんが、私が見たときは一人でした」


「そうですか、わかりました」



 俺は、千尋の身を案じながらもコンビニに入った。コーヒーを買うためレジに並んでいると、店内が騒々しくなった。


「万引き犯め!」

「ごめんなさい!」

ほぇ、まただ。またやってしまった、この口は!!


「お前がやったんだな!?」

店長らしき人物は俺に詰問してきた。


「店長、犯人は外に逃走しましたよ」

「あ、そうだったな。」

「ごめんなさい」


「もういい、まったく小学生か?」

「ごめんなさい」

慌てて口を押さえてごまかした。


コーヒーを買ったあと、外で一気に飲み干した。


このまま外にいると、あらぬ誤解を招きそうなので自宅で待機することにした。幸い、休校中のためサボりにはならなかった。


「ごめんなさい」

自宅に入るのになぜ謝る?俺は。


「お兄ちゃん、どうしたの?」

「ごめんなさい」

「変なお兄ちゃん」


(俺はもう寝る。飯もいらない、風呂も入らない)

「分かった。おやすみなさ〜い」


走り書きのメモを見せると、急いで部屋に行き寝る事にした。妹は、この奇行の兄を見るなり、こう言った。


「お母さ〜ん!?お兄ちゃんが、今まで以上に狂っちゃったよ〜!病院に連れて行った方が良いんじゃない?」


今まで以上は余計であり、病院では直せないぞ、妹よ。



残りはあと二日。千尋を救い、ゲームをクリアしてやるぜ!!



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