表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。

発光ダイオード②

作者: コロン

毎朝、会社に行くために電車に乗る。いつものように、いつもの駅から、いつもの時間に電車に乗った。この電車は急行。乗換の駅まで2駅停車する。通勤時間のため座席はフルに埋まっている。ししおどしの如く、毎朝この行動をしている。毎朝、電車に乗る顔ぶれ、席に座っている顔ぶれも大体同じ。ふと気付いた。見知らぬ顔がいる。お馴染みの顔ぶれの人達も気付いているだろう。外国人が2人いる。しかも、夫婦と思われる。自分の定位置であるドア付近を陣取っている。仕方なく、その近くに立った。定位置を奪われ、少しお馴染みの顔ぶれの人達から哀れに思われているような気持ちになった。乗換の駅までは40分。いつものようにスマホを出し、さっき送ったLINE相手から返事があるか確認する。既読になっているが、返事はなかった。別に構わない。ともすると、外国人夫婦と思われる、男性が喋りかけてきた。英語だった。一瞬、戸惑いはしたが、すぐに外国人男性が話す英語に耳を傾けた。全くわからない。そんな空気を察知したのかドア付近の上にある停車駅マップを指差し、また、しゃべり始めた。英語だった。今度はわずかにマップがあるおかげでいくつかの単語を聞き取ることに成功した。男性はまだしゃべり続けているが、これ以上はと思い、聞き取った単語から何を言っているのか、停車駅マップがどう絡み合うのか、頭をフル回転させた。恐らく、降りたい駅はここだけど、何個目の駅で下車すればいいのか、という内容だと判断した。「OK」恥ずかしながらつぶやいた。いつもの顔ぶれの方に目を向けれない。しかし、何個目の駅かはわかっている。いつも乗換している駅だったからだ。2個目だ!頭の中で叫んだ。口には出していない。相手が外国人だからだ。英語でいうのか?やはり恥ずかしい。明日から、また、お馴染みの顔ぶれの人達にどんな風に思われるだろうか?しかし、言うしかない!この状況を無視して乗り切るほどの度胸は持ち合わせていない。かといって'2個目'と日本語で言うのか、、、いや、それはない。なぜかそれをする自信がない。

「トゥ~♪」・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・言い放った。どうだ?どうなんだ?どうなるんだ?

「サンキュー」、、、、、、乗り切った。日本を代表した気分だった。と思っているのもつかの間、とんでもないことが起きた。晴天の霹靂、天変地異、唯我独尊・・・なんて言うのか、言葉で表すことは不可能な事態。外国人男性が妻と思われる外国人女性に伝えた言葉に異常な気持ちにさいなまれた。「2番目だって」と日本語で言ったのだ。


電車はいつも通りちょうど40分でいつもの駅に到着した。

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ