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フェバル〜TS能力者ユウの異世界放浪記〜  作者: レスト
I 後編

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”起きろ。バカ弟子が”

 存在のすべてが燃え尽きて。消えゆく中。

 ジルフ・アーライズは星脈へと還り、大いなる『光』が温かく彼を包み込もうとしていた。

 全知全能に最も近しい『彼女』に触れたとき。彼にも多くを理解することができた。


 ユウがアイの魔の手にかかり、今も藻掻き苦しんでいること。

 最愛の人イネアが。あの子の師匠もまた、奴の手に堕ちてしまったこと。


 せめて最期に。

 一言だけでも、伝えられはしないか。


 不幸にも化け物に操られ、もはや愛する声も届けられない彼女の代わりに。

 お前たちが彼女を救ってくれと。アイになど負けるなと。

 強く。そう願って。


 ――『去り行く者』の想いは、願いは。もはや何人にも妨げられることはない。


 切なる想いは深き闇を越えて、孫弟子にまで真っ直ぐに沁みていく。

 八十億の『痛み』と向き合い続け、ようやく『対話』を終えつつあった彼に。

 せめて心の深く繋がる誰かへ。必死に呼びかけを続けていた彼に。

 力強くそして温かく、大師匠はほんの背中を一押しした。

 イネア(あいつ)が側にいたら、真っ先に言いそうな言葉を。


『起きろ。バカ弟子が』


 ――――


 意志なく横たえられていた拳に、固く力がこもる。


 星海 ユウは。皆から帰りを待ち望まれていた戦士は。

 長い長い闇の眠りの奥底から、ついに目を覚ました。

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