98、
また、私は駅の柱に寄りかかって彼を待った。
相変わらず2分くらい遅れてくる。
それはわかっていたけど、逆に時間通りに来ていたら申し訳なくてついつい早めに来てしまう。
そして、頭の中で演習をする。
いつ、どうやって、そんな感じで何度も何度も頭の中で繰り返しの言葉を言う。
『私、やっぱり美晴のことが好きなの、だから……セラ君とは……』
「おはよ!」
「うわぁ!」
もはやナイスタイミングで来た。
驚いた声に驚いたような顔をしていた。
「あ、ごめん」
「私こそ……」
変な雰囲気だ。
私が元凶なのだけど。
「あ、コンタクトにしたの?」
「うん。ちょっとね」
大変緊張しています。
このタイミング。
このタイミング!
「そっか、かわいいね。行こ?」
へ?
あ、あの……。
頭の中ではしっかり言葉が出てくるのに、声に出来ない。
そんな状態でもセラ君は私の手を取って、決めているコースに向かっている。
口に出そう出そう。
……後でいっか……。
そのままカラオケに入り、2時間で退室。
その後、近くのクレープ店でクレープを2つ買って街を歩きながら食べる。
そのあとにゲームセンターで一緒にシューティングなどなどをやってから、カフェに入ってカフェモカを飲んでいる。
現在5時半。
そろそろ、お別れの雰囲気ですが……。
あの……。
言い出せないでいます。
大変楽しそうで、言い出す場面がなかったんです。
弱虫とか言わないでください。
「ねぇ? まだ時間ある?」
「なんで?」
いや、チャンスですよ、チャンス!
もう少し延ばせば言うタイミングができるかもしれない!
「……プラネタリウム行きたくてさ」
「……? ……どうして?」
彼は苦笑いのような笑顔を見せてから、
「ちょっとね」
と言った。
「いいけど」
「ほんと!?」
「う、うん」
なんだろ?
どっかの雑誌にでもモテルートとして書かれていたのだろうか?
にしても、またプラネタリウムって。
カフェを出て、彼の手を引く方向へ向かっていった。
ついたのは、市役所で中には図書館とプラネタリウム、保育所から体育施設まである、結構使用する場所である。
中に入り、そろそろ行われるプラネタリウムのホールに入る。
手を引かれるがまま座った場所は、ガラガラにも関わらず、中心より離れた場所に座った。
決まっている?
そんな感じである。
座ると急に暗くなり、中心にある地球儀みたいな射影機が光出した。
空は星空となり、そして、先ずは太陽系、銀河系、そんな話が始まり、そのうち地球から見える星空の解説になる。
「デネム、アルタイル、ベガ」
彼が小さな声でそう言った。
そのあと直ぐに、夏の大三角が記された。