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しぐれぐむ  作者: kazuha
その出会い
9/200

9、




 私はテラコさんに連れられて、デパートのエスカレーター付近にあるベンチに座る。



 それと同時にテラコさんはペットボトルのお茶をくれた。



「はい。お酒じゃないけど」



 テラコさんは悠長に冗談をかましながら私の隣に座った。



 今更気づいたが、テラコさん、巨乳……。



「あ、ありがとうございます」


「いいのいいの、美晴の彼女だしね」



 まだそんなことになっていたのか。



「違いますから」

「いいのいいの、恥ずかしがらないで」


 もうだめだこの人。


「この前はごめんなさいね。酔っててなんか変な絡みしちゃったみたいで」



 酔ってても酔ってなくてもこの人は変わらない気がした。



「そういえば自己紹介してなかったわね」



 テラコさんはそう話を進めながら自分は缶の炭酸飲料を一口飲む。



「私は、寺西(てらにし)聖子(きよこ)。みんなからはテラコって呼ばれてるわ。バンドではキーボード。もうかれこれ五年はやってるわね」



 寺西聖子。頭とお尻を取ってテラコ。



 誰がこんなあだ名をつけたのだろうか。



「っで、時雨ちゃんも自己紹介」

「あ、はい」



 急にフラれて多少困ったが直ぐに続けた。




「黄金沢時雨です。大学二年、学科は生物化学科です」



 なんか余計なことまで言った気がするが、まぁいいやと思って息を吐いた。



「二年なんだ。じゃぁ美晴の1個下ね」



 はい?



「え、柘植くんって三年なんですか??」

「そうよ? 知らなかったの?」



 うわぁ、同い年か下かと思ってた。



「あらぁ、まぁ、そうね。三年生よ」



 なんとなく残念な気持ちになりながらも、ひとつの疑問が生まれた。



「あ、あの……テラコさんと柘植くんってどうやって知り合ったんですか?」



 テラコさんはぱっと見でも私と一緒の年齢とは思えないし、しかも働いている。



「あぁ、1回ね、バンドフェスティバルでライブしたときにね、美晴に誘われたのよ。俺とバンド組まないか? ってね」



 懐かしそうにそう答えた。



 意外と単純だったことに流石に驚きを隠せなかった。



「さぁて、そろそろ戻ってくるんじゃないかしら? 私はもう仕事に戻らないとだからね」



 そう言って立ち上がりニッコリと笑った顔を見せられた。

 テラコさんは、髪にむらさきいろの大きなカチューシャをしていて、メイクははっきりと、服は奇抜だが、すらっとした体型にDだと思われる胸。



 なんとなく、かっこよく感じた。 



「じゃぁね、時雨ちゃん。また会える日に」



 見とれて遅れをとった私は立ち上がり一礼する。



 彼女はスタスタと、結構高いヒールの靴で消えていった。






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