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しぐれぐむ  作者: kazuha
揺れ動く感情
68/200

68、




 日が出てからは特にいつもと変わらなかった。


 ここまでくると告白をOKしたことさえ夢のようだし、むしろなんでOKしたのかさえ心情的にわからなかった。



 ただ、日が出て、ボーッとぽやぽやした雰囲気に飲まれているだけだ。



 眠いだけと言われたらその通りと言わざるを得ないのだが。






 欠伸ひとつ。


 すると美晴も欠伸をする。



「移った」



 微笑む私を見て、呆れるように溜め息を吐かれた。



「悪いか? 時雨のものはオレのものなんだなら、欠伸だってもらっていいだろ」

「嫌よ、気持ち悪い」

「それもそうだな」



 実に下らない。

 それでも、楽しかった。



 帰ると母もおばかも起きていて、朝ごはんと言う名のおせちが並べられていた。




「あら、初日の出デート?」

「見に行っただ……」

「そうっすよ」



 美晴はふざけて笑い、私の肩に手を回して、なっと言ってきた。


「見に行っただけだよ」

「手、繋いでたのに?」

「それはっ!?」

「実はそんな仲なの? お母さんが知らないところで急にませちゃって」

「もう! お母さんまで!!」




 なんなのこの人達は!!



「ってことでお付き合いさせてもらうことになりました」

「どうぞどうぞ、こんな拙い娘でよろしければ」



 いや、雑じゃない?

 親への紹介、しかも相手方の親への紹介適当でしょ!



「めでたいわ、めでたいわ。ほら、おせちとなんかよくわからないお餅お食べ」



 それ買ってきたの奴です。



 ってかお父さん3つくらい食べてるよね??



 何個か消えてるんだけど。



「じゃぁ、お言葉に甘えて」

「あと、はい日本酒」

「あ、どうも」



 テレビを見ながらおせちを食べ、絶え間無く連写されるお笑いタレントのコントを見て笑う。



 そのあと、弟が凧上げしたいと言うのでしにいき、家の中ですごろく。


 午後6時に美晴は帰る。



 玄関まで送って、そのまま帰ってしまった。



 1人いなくなった後の寂しさなんて始めてだった。


 いないことでの不安、寒さ、筋肉の硬さの名残、どれも苦しかった。


 少しも待たないで美晴にメールを送る。



 今日はありがとう。



 そう送って、メールが来ていたことに今更気づいた。



 2通。


 1通は皐月さんから。


 もう1通はセラくんから。



 どっちもあけおめメールだった。



 どっちにも返す。




 その時に気づいた。



ーーーーセラ君に、なんて伝えたらいいのだろうかという事に……。

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