68、
日が出てからは特にいつもと変わらなかった。
ここまでくると告白をOKしたことさえ夢のようだし、むしろなんでOKしたのかさえ心情的にわからなかった。
ただ、日が出て、ボーッとぽやぽやした雰囲気に飲まれているだけだ。
眠いだけと言われたらその通りと言わざるを得ないのだが。
欠伸ひとつ。
すると美晴も欠伸をする。
「移った」
微笑む私を見て、呆れるように溜め息を吐かれた。
「悪いか? 時雨のものはオレのものなんだなら、欠伸だってもらっていいだろ」
「嫌よ、気持ち悪い」
「それもそうだな」
実に下らない。
それでも、楽しかった。
帰ると母もおばかも起きていて、朝ごはんと言う名のおせちが並べられていた。
「あら、初日の出デート?」
「見に行っただ……」
「そうっすよ」
美晴はふざけて笑い、私の肩に手を回して、なっと言ってきた。
「見に行っただけだよ」
「手、繋いでたのに?」
「それはっ!?」
「実はそんな仲なの? お母さんが知らないところで急にませちゃって」
「もう! お母さんまで!!」
なんなのこの人達は!!
「ってことでお付き合いさせてもらうことになりました」
「どうぞどうぞ、こんな拙い娘でよろしければ」
いや、雑じゃない?
親への紹介、しかも相手方の親への紹介適当でしょ!
「めでたいわ、めでたいわ。ほら、おせちとなんかよくわからないお餅お食べ」
それ買ってきたの奴です。
ってかお父さん3つくらい食べてるよね??
何個か消えてるんだけど。
「じゃぁ、お言葉に甘えて」
「あと、はい日本酒」
「あ、どうも」
テレビを見ながらおせちを食べ、絶え間無く連写されるお笑いタレントのコントを見て笑う。
そのあと、弟が凧上げしたいと言うのでしにいき、家の中ですごろく。
午後6時に美晴は帰る。
玄関まで送って、そのまま帰ってしまった。
1人いなくなった後の寂しさなんて始めてだった。
いないことでの不安、寒さ、筋肉の硬さの名残、どれも苦しかった。
少しも待たないで美晴にメールを送る。
今日はありがとう。
そう送って、メールが来ていたことに今更気づいた。
2通。
1通は皐月さんから。
もう1通はセラくんから。
どっちもあけおめメールだった。
どっちにも返す。
その時に気づいた。
ーーーーセラ君に、なんて伝えたらいいのだろうかという事に……。