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しぐれぐむ  作者: kazuha
クリスマスの微笑み
52/200

52、




「 Schnee leuchtetです! よろしくおねがいします!」



 轟と響く。



 一曲目が終わりステージ全体が明るくなった。


 歓声があちこちから飛び交う。


 私も拍手はしていた。


 やっぱりみんな普段と大分変わっている。


 美晴は相変わらず普段のネクラモードからその姿を想像できない程にかっこよくなっていて、

 テラコさんは可憐な美人。


 土門さんはドラムセット付近でスティックをグルグル回している。


 晋三さんは全体的に落ち着いているが、出す音はパッションが効いている。



 そして、Angel voiceのセラくん。


 1つ高い位置にいると余計女の子に見える。


 その容姿から出される甘い歌声は甘酸っぱい気持ちを連想させる。


「さて、今日始めて来たって人の為に、自己紹介するね」



 セラ君がそういうとドラムがビートを叩き始め、ベースが適当に音を伸ばす。


「先ずはギター! 銀メッシュの美晴!」



 するとピック持っている右手を大きく上げて3歩くらい前にでる。

 そして、ギターを掻き鳴らす。


 テクニックとかそういうのよくわからないけど、適当に弾いている訳でもないようだった。



「次! キーボード、唯一の女性テラコ!」



 テラコさんはジャズ風味にキーボードを叩き、一回転とかムダに両手を上げるとかしていた。

 だけど全く止まらない流水のようなキーボードであった。


「次! ベース! 最近体重が3キロ増えてダイエット始めました! 晋三!」


 今まで適当に伸ばしていたベースを、急に音色を変え、さっきまで落ち着きのあった低音が荒ぶる。

 この技法は聞いたことある。

 最近流行りのスラップとかいうやつじゃなかっただろうか。



「次、ドラム! 虎バンダナの土門!」


 今までのビートがなくなり、激しく乱打する。

 しかし、乗れないわけではなかった。



 またビートが戻ったと思ったら全員が音を出していた。

 もう、曲が始まるかのような。


「最後僕! セラです! 聞いてください! ラビットエンビー!」



 始まるなり私以外がみんな頭の上に手で耳を作り飛び始める。

 私は咄嗟に真似をする。





 その曲が終わる頃、私の体力は限界に近かった。

 ってか、慣れないヒールで飛んだから足痛いんですけど。


 セラ君も水を飲んでいるので、私も安全地帯に置いておいたオレンジジュースをごくっと飲んだ。



「今日はクリスマス! みんなサンタさんからプレゼント貰ったかな?」



 貰った。


 そう最前列の1人が言った。


「え!? ホントに? 何を?」

「指輪」



 おっととんだリア充だ。


 しかし、皆それを喜んであげてるみたいで、ひゅーひゅーとか、おめでとうとか言って拍手していた。



 とやかく言う私も拍手はしているのだが。



「おめでとう! いいプレゼントだね」


 セラ君は笑顔で司会をこなしていく。


 時折あちこちを見回してるのは私でも探しているのだろうか。



「じゃぁ、僕たちもプレゼントを持ってきたんだ」


 きゃぁ!!


 黄色い声に少しだけ耳が痛くなる。


「ほらほら、静かにして。サンタさんが驚いちゃうだろ」


 こしょこしょ。


 まるで2人でサンタさんが来るのを待っているようだった。



「ほら、聞こえてきただろ」


 シャンシャンシャンシャン。


 鈴の音が響く。


 それが段々と大きくなり本当に近づいているようだった。


 シャンシャンシャンシャン。


 シャンシャンシャンシャン。


「Merry-X'mas and I love you」



 いきなりだった。


 耳元で囁かれたようだ。



 始まった音楽と共に歓喜の声が上がる。



 新曲らしかった。

 隣の人達が言っていた。


 クリスマスを題材にしたラブソング。

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