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しぐれぐむ  作者: kazuha
クリスマスの微笑み
45/200

45、




 クリスマスが近づいていた。



 クリスマスなんて関係なかったし、そもそもいつだかも当日にならないと覚えていなかった。


 だが、新聞と共に持ってこられる広告たちと、テレビで連日連夜流されている最早キーワードを覚えていないなんて言えるはずもなかった。



『なぁ暇か』



 昨日の今日で、普段送られてこない人からメールが送られてきた。


『暇よ』


 絵文字も顔文字もなしで送られてきたので、目には目を、なしにはなしを。


 朝っぱらからだったので少し機嫌が落ちた。



 久しぶりの連休に心を踊らせている。


 なんかやれることはないかと考えたところ、がんばっているし、感謝の気持ちにと、ケーキを作ろうと思っているのだが、如何せん作ったことない。



 私は居間でケーキのレシピを複数眺めて、食材を買いに行こうとしていた。



 また携帯が鳴った。


 学校がないのでマナーモードを切っていた。


 なのでメールが来る度にカジ君の声が聞けた。


 束の間の幸せ。


『会えるか?』



 ……。


『静かに寝てなさい! 風邪っぴき!!』



 携帯をぱしっ! と閉めてまた目星をつけ始めた。







 結局、ショートケーキにした。

 つまらないなんて言わなせない。

 これが精一杯だ。




 私は家にない生クリームと、母に売っていると言われたスポンジを買いに行く。





 電車を乗っていつものように都市らしい場所に出た。



 近場にスーパーなんてないから、ここまで出る必要がある。


 いゃぁめんどくさい。


 めんどくさいがしょうがない。




 すぐ近くのスーパーに向かってイチゴ、生クリーム、装飾するためのその他諸々、後はスポンジ、ホントに売ってた。



 これだけでいいのだろうか?


 スーパーをぐるぐる回って、めぼしいものを籠に入れていく。




「合計で5304円です」



 うわぁー、結構いっちゃった。


 缶とかいらないかなぁー。



 っと思いつつも、この前の服代のあまりがあったが、これを使うといろいろと買えなくなる……。


 しょうがないと諭吉を出して、一円玉を4枚出す。



 帰ってきたのは千円札4枚と、3枚の硬貨だった。




 あぁ、辛いなぁ。

 お金なんてこんなもんなのかなぁー。




 そのまま家に帰ろうとした。


 スーパーを出て今日はCDショップに寄らないで真っ直ぐかえろうと道を選んだ。



 最短距離は人があまりいない。


 まぁ、こんな細い道を好んで使うのは私ぐらいだろうし。


 右方は駅の壁、左方は車さえ通らない道。



 真ん中あたりだろうか。


 そこまで来ら肩をトントンと叩かれる。




 私は振り返った。

 いや、もはや反射的に後ろを向いただけだ。




「こんにちは、黄金沢さん」



 そしていきなりグーでほっぺたを殴られた。

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