表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
しぐれぐむ  作者: kazuha
無くならないで欲しいと願う
22/200

22、




 朝起きた。


 気だるい感じも、肌寒い感じも、何もかもいつもと変わらなかった。


 昨日初めてお酒を飲んだなんてわからないくらいに。


 もしかしたら飲んでいないのでは……。




 まぁ今となってはわからないことだ。


 起き上がり、閉まっているカーテンを開けた。




 日光は以外にも高く眩しかった。


 木漏れ日に身を丸くしている三毛猫はまっ黄色の落ち葉の絨毯ですやすやと寝ていた。



 今日は少しばかり暖い。


 秋晴れも今日が最後なのではないだろうか。





 さぁ、今日は何をしようか。


 そんなことより朝ごはんだな。



 パジャマを適当に脱ぎ、適当なパーカーにデニムのパンツをはいて、1階の居間に向かう。



「あら、時雨おはよ」


「おはよ」


「今日、大智(たいち)の三者面談あるから家から出てってくれない?」


「いいけど、いつから?」


「あと20分くらい」



「はい!?」



 急すぎると思いませんか!?


「はいったってあんたぐっすり寝てるから。まったく起きなかったんだからね!」


 そうは言われても急すぎますよ。


 私は来た道を戻り、外出用の準備をして直ぐに家を出た。




 行く宛もなく、取り敢えずご飯でも食べに行こうと駅前に向かう。


 駅前にはファストフード店や定食屋、牛丼のチェーン店にカレーのチェーン店。


 朝はご飯な気がするので定食屋に入りご飯を食べることにした。



 中は時間の問題もあるだろうが、人はバラバラといて各々適当に食べていた。


 店員さんに好きなところにどうぞと言われたので入口に一番近いカウンター席に座る。


 メニューを渡され、その中で一番初めに目についた唐揚げ定食を頼んだ。



 料理が運ばれてくるのに時間は掛からなかった。


 それをぺろっと平らげてお会計を済ませてお店を出た。



 少し食べ過ぎた気がするが、取り敢えず近場の本屋に向かった。



 広いこの本屋は二階建てになっており、1階はビジネス本や勉強用、雑誌に料理本が所狭しと綺麗に並べられている。


 私は一番初めにファッション雑誌を手に取りパラパラとめくっていた。


 可愛いなぁ、とか思いながら、しかしながら自分が似合うはずがないと淡く抱いた希望を打ち消した。



 次に2階に上がる。


 漫画や小説、さらに音楽本や手芸など、多種多様に並べられている。


 このフロアの一角には『成人』と書かれた黒い布で隠されている場所がある。



 まぁ、入りませんが。



 まず、漫画の所に向かう。


 欲しい漫画を探しているのだが結局売り切れで、店員さんにいつ入荷するかなんて聞けるはずもなく、適当に来ては探すのが日課になりつつある。



 小説の欄に入ると気になる題名の本を手に取る。


 恋愛小説。


 そういえばそろそろ読み終わるから新しいの買わないとなぁ。



 そんなこんな、お金がないので諦めて本棚に戻し、ブラッと1回りする。



 すると音楽系の欄に目が止まった。



『初心者でもできる簡単ギター教室』



 謳い文句のようなその本を手に取りペラペラめくってみた。


…………。


………………。


……………………。


 全然何書いてるかわからない。



 本を戻し、次にベース、ドラムと見たが異国の言葉のような音符の羅列に見る気をなくした。



 最後にピアノの教本を見たが、同様だった。






 こういうのを見ていると、やっている人達って凄いんだなと思う。




 ただそれだけだった。


 やりたいとも思わない。


 聴くのが好きなだけだ。



 全て本を戻し、本屋を後にする。



 暇だから少し遠出してみよう。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ