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しぐれぐむ  作者: kazuha
しぐれぐむ
176/200

176、




 テレビに出た。



 そうメールが来たのも12月のことだった。



 なかなか長かったと彼らも言っている。




 その放送日が今日だ。


 全国放送でしかも19時というゴールデンタイムの番組に彼らは出る。



 予約はした。


 お風呂も入った。



 ご飯も済ませた。



 よし、準備万端だ。




 テレビの前でニヤニヤしながら、椅子に体育座りで座っていた。



 そうしていると弟が居間に来て私を見るなり、キモイ、と一言置いていった。



 別になんと言われようとも構いません。





 CMも鬱陶しいくらい時間が迫っていた。



 ここでお母さんが居間に来て椅子に座った。



 みんなに言ったのは私だ。


 世界的にまだ無名な彼らは新聞のテレビ欄には書かれないし、テレビのテレビ欄の詳細を見ても最後の方に出てるくらいだ。



 コアなファンってやつなのだろうか。


 まぁ、好きだからしょうがない。




 それは唐突に始まった。


 本番ではなく、前座だ。



 有名なアイドルグループがトークとゲームをする1分の枠組みだ。



 そんなのどうでもいい、早く見せて欲しい。




 みんな黙ってテレビを見ていた。


 うるさいのは時折外を通る猫の鈴の音だろう。



 始まりは有名な音楽だった。


 黒いサングラスの超有名司会者。

 その隣の女性アナウンサー。


 その3つ後ろのひな壇の1番左端に彼らはいた。



 美晴の髪が黒いことに少しだけ違和感を覚えながらも今か今かと彼らの出番を待った。




 始まりは早かった。


 開始18分で彼らの出番になったのだ。



 曲はこっちで最後にやったライブの新曲で、美晴自身気に入っていた曲だ。


 観客のまとまった動きが綺麗に見え、星空くんは楽しそうに歌っている。



 その時間は意外にも短く、直ぐに終わってしまった。



 そのあと、超有名司会者とのトークになりこれまでの生い立ち的なことをやっていた。


 もう既に有名になっているらしく、アナウンサーの人も最近ファンになったらしい。



 まぁ、私の方がファン歴長いですけどねぇ。



 それより、ちょくちょく茶化してくるお母さんがそろそろウザイ。



「あら、美晴くんイケメンねぇ。さすが私の息子」

「まだ、結婚してないって」

「え? もう婚姻届出してないの? 早く貰って印鑑押しなさいよ」

「もう! ちゃんと計画あるの! お母さんは黙ってて!」




 終わったことだし、部屋に戻ることにした。



 確か、あの番組は生放送だったはずだ。


 なので後40分くらい待って電話しよう。



 そう思ってそれまで何をしようか悩んだ。


 取り敢えず日記をつけ、机の上に積み上げられている本を本棚に移した。


 そんなこんなしていたらいつの間にか40分を7分過ぎていた。




 携帯を取りに行き、直ぐに美晴に電話する。



「もしもし」


 待っていたのか、それともたまたまなのか、直ぐに出た。


「お疲れ様」

「おう。さすがに緊張したわ」

「良かったよ」

「ありがとう」



 これ以上なにを話していいのかわからなくなった。

 ただ声が聞きたかっただけだから、話しの種とか持ってこなかった。




「すまん、これから挨拶周りするから。なんかあったら電話するわ」



 慌てた様子で電話を切られてしまった。


 それもそうだろう。


 そんな世界なのだから。




 私はベットに入った。


 寝るには早すぎる。



 新たに買ってあった小説でも読もう。



 頭辺りの本を取り、読み始める。


 あまあまの恋愛小説を。

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